■アップルカーの委託先はLGとマグナが濃厚か
EV業界の台風の目ともいわれる「アップルカー」。生産委託先としてヒュンダイや日産の名前が挙がったが、ここへきて韓国メディアが「LGマグナeパワートレーン」が受注すると報じている。
名前からもわかるとおり、この会社、韓国のLG化学とカナダの部品製造大手マグナ・インターナショナルが作った企業だ。
確かにアップルカーを作るにはうってつけではある。
LG化学は、中国CATLに次ぐ自動車用バッテリーメーカー「LGエネルギーソリューション」の親会社だし、マグナ・インターナショナルはオーストリアに自動車受託生産を行う子会社「マグナ・シュタイヤ」を抱えている。
メルセデスベンツのGクラスやBMW Z4、GRスープラなどがここで作られていることは有名だが、最近ではソニーのEVプロトタイプ「ヴィジョンS」を同社が手がけたことが話題になった。
理由はそれだけじゃない。マグナ・インターナショナルは、かつてアップルが進めていた自動運転車開発計画「プロジェクト・タイタン」にも関わってきた。
同プロジェクトは2019年に終了したといわれるが、これを「先行実験から正式事業へとステップが進んだため」と見る専門家もいる。
いずれにしろ、アップルとの協業経験があるマグナ社が有利な立場にあることは、間違いないだろう。
いっぽうで疑問点も残る。一番の謎は中国への対応だ。
いまや中国はEV生産のメッカとなりつつあり、ここに拠点を置くことは、技術集積やコストダウンまで計り知れないメリットがある。
アップルも当然これを意識していると思うのだが、LGとマグナの提携には、対中国戦略が希薄な気がするのだ。
企画担当は中国向けに別の委託先があると思うのだが、果たしてどうなるか。今年中には答えが出るだろう。
【番外コラム】20秒ニュース×3
●コンビニや酒屋さんの配送車としてよく見かける超小型モビリティの積載量が緩和されることになった。トヨタ車体のコムスがその代表選手だが、これまで荷物が30kgしか積めず、ビールの500ml缶だと2ケース(1ケースは約13kg)が限界だった。「100kg程度まで緩和してほしい」というユーザーの声が多く寄せられたことから、警察庁が積載量を90㎏まで緩和することにしたという。制動能力など安全性も確認済みというからこれは朗報。普及に弾みがつくはずだ。
●中国製テスラの値下げは衝撃的だったが、そのおかげで中国からのEV輸入が急増した。1~3月の輸入台数は879台で前年同期の9倍、輸入額にするとなんと48倍になったという。これまで中国からの自動車輸入は微々たるものだったが、今後は格安EVなども上陸してきそう。軽自動車市場は、思わぬライバルに備えるべきかもしれない。
●混雑した時の高速料金が値上げされることになりそうだ。早ければ今年度中にも実施されるという。混雑時の交通量を減らし、空いた時間へと分散させるのが狙いだが、納品を急かされる物流業者などへの影響が懸念される。実施は高速道路全線ではなく、中央道の小仏トンネル付近や東名道の大和トンネル付近など、渋滞が頻繁に起きるポイントを選んで対象とするようだ。これまでETCの休日割引なども利用できたが、これからは逆の事態となるかも。もっと柔軟に休みが取れる社会ならいいのだが……。
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