北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第41回は、冬眠の準備に追われるエゾシマリスの姿をお届けします。
半年近く雪に閉ざされる長い冬に備えて、頬袋をパンパンにして走りまわる可愛い姿をとくとご覧ください。
写真・文/佐藤圭
【画像ギャラリー】冬眠準備中のエゾシマリス、顔の大きさは通常時の3倍!
1年の半分以上は冬眠してます
北海道の山の秋はとても短いです。夏から、駆け足で冬に向って行きます。
今年は、オリンピック期間中、北海道でも猛暑日が続いてたいへんでしたが、お盆を過ぎてからは過ごしやすくなり、日が落ちると肌寒くなる日もあります。
多くの野生動物たちが暮らす大雪山系の山々では、9月に入ると紅葉が始まり、9月末には雪が降り出すこともあります。
エゾシマリスにとって、秋は、最も忙しく活動的な時期になります。
なぜかと言うと、エゾシマリスは、この短い秋の間に、冬眠の準備をしなきゃならないんです。
なんと、エゾシマリスは1年の半分を冬眠して過ごします。メスの成獣だと冬眠期間は200日を超えます。
しかも、冬眠といってもクマのように秋に食べまくって蓄えた体脂肪でひと冬を過ごすわけはなく、巣穴のなかでときどき起きて食事をしながら冬を越すんです。
そのため、秋になると、冬眠する巣穴を決め、そこに、寝床になる巣材と越冬用の食物をせっせと集めなくてはならないのです。
春から夏は、植物の種子、果実、花、芽、ときには昆虫や鳥の卵など様々な食物を食べていますが、冬眠用には腐りにくい木の実だけを集めます。
ひと冬分の食料と巣材を集めるのはたいへんです。この時期のシマリスたちは、木の実で頬袋をパンパンにふくらませて、そのうえ、巣材にする枯れ葉を口からはみ出すほど詰めて、野山を駆け回っています。
このほっぺたパンパンのシマリスは本当に可愛いので、毎年秋は、この顔を見るのが楽しみで、足繁く山に通っています。
リスというと樹上で生活しているイメージがありますが、エゾシマリスの生活圏は地上です。巣は、地面の土を掘って作ります。前年に使った巣や、他の個体が作った古巣を利用することもあります。
細長いトンネルの奥は、寝床、貯蔵庫、トイレなどに分かれているようです。一度、中を覗いてみたいですね♪
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
コメント
コメントの使い方