ブルーバード(1959年~2001年)→シルフィ(2000年~2021年)
2021年10月、日産のミドルクラスセダンであるシルフィが生産終了となった。このモデルのご先祖様は日産の基幹ブランドのひとつであったブルーバードだ。
ブルーバードが誕生したのは1959年。6代目まではダットサン ブルーバードの名で販売されていた。当時、トヨタのコロナとは熾烈な販売競争を繰り広げ、この状況は「BC戦争」とも呼ばれた。
ブルーバードの人気を押し上げたのは、2代目以降に設定された「SSS(スリーエス)」で、最終モデルまで中心グレードとして君臨した。ちなみに、このSSSとは、スーパースポーツセダンを意味する。
セールス的に最大のヒットを記録したのは、1979年に登場した6代目で、小型車(1.6~2.0リッター)クラスで27カ月に渡り、連続新車登録台数第1位をキープした。そして、このモデルがブルーバード最後のFR車となった。
そして2000年8月、ブルーバードは新たにシルフィという名を配したコンパクトセダンとして生まれ変わった。とはいえ、実はベースとなったの当時のサニーだった。ということで、事実上ブルーバードの系譜統はこの時点で途絶えたと言えるだろう。その後約1年間はブルーバードとブルーバード シルフィは併売されていたが、2001年8月をもってブルーバードの生産は終了した。
ブルーバードの名が完全に消滅したのは、2012年に登場した3代目からだ。ここで、ブルーバード シルフィからブルーバードの名は外され、ブルーバードは53年の歴史に幕を下ろした。
後継モデルのシルフィは、ボディサイズを拡大して5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへ、搭載エンジンも1.8リッター直列4気筒DOHCに統一された。この大幅な変更は、グローバルセダンとして海外で発売するための変更だった。
しかし、セダン市場の縮小による影響は避けられず、2019年にフルモデルチェンジを実施したものの国内販売は振るわず……。2020年9月、シルフィはこの3代目で生産終了となった。実は、事前告知もなしの生産終了と、去り際は名門ブルーバードの系譜を継ぐモデルとは思えぬさみしいものとなった。
しかし! シルフィはe-POWERを搭載して復活。ただし、残念ながらこれは中国での販売でのハナシ。日本での販売は今のところ予定されていない。
コロナ(1957年~2001年)→プレミオ(2001年~2021年)
カローラ、マークII、クラウンとともにトヨタの伝統的なセダンの一角をなす存在として1957年に誕生したのがコロナ。最大のライバルは日産のダットサン ブルーバードで、前項のとおり「BC戦争」を繰り広げた。
デビュー当時は、トヨペット コロナという名称だったが、1978年のフルモデルチェンジからはトヨペットの名が廃され、トヨタ コロナが正式名称となった。マークIIのような爆発的ヒットはなかったものの、安定した販売台数を維持していた。
しかし、マークIIやマークX同様、セダン市場の縮小が打撃となり、販売台数は徐々に低迷。1992年に登場した10代目からはGTなどのスポーツグレードが廃止され、モデルレンジが縮小されていった。
最終モデルとなったのは、1996年に登場した11代目。このモデルから、コロナ プレミオと、車名にプレミオというサブネームが付いた。
2001年12月、コロナの名は廃され、プレミオの名で販売が開始された。ここで、コロナは44年の歴史に幕を閉じることとなった。
初代プレミオは、5ナンバーサイズの4ドアセダンというスタイルは踏襲しつつ、ホイールベースを120mm延長してクラス最長の2700mmに、車高も60mm高くして、既存の5ナンバーセダンのイメージを払拭する広い居住空間を確保。当時のSUVやミニバンブームに見劣りのしない実用性重視の設計が施された。
2007年6月には2代目が登場。この2代目は、2021年の生産終了までの約14年の長寿モデルとなった。というと少し聞こえはいいが、設計はどんどん古めかしいものに。一部改良やマイナーチェンジで新グレードの追加や安全装備の拡充も図られたものの、ユーザーの心が離れてしまったのは必然とも言える。もちろん、5ナンバーサイズのセダンの需要の低下も低迷の大きな原因と言われている。
最終的には、2021年3月末に生産終了が発表。コロナの姉妹車であったカリーナの後継モデルだったアリオンも生産終了となった。これで64年に渡り続いたコロナの系譜は途絶えてしまった。そして、プレミオとアリオンの消滅とともに、トヨタは5ナンバーセダンから完全撤退することとなった。
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