常に風雨にさらされている塗装面はエンジンや足回りなどよりもずっと劣化しやすい。特に、塗装面が劣化して色褪せしたクルマは見た目が悪いだけではなく、下取り価格も大幅ダウンしてしまう……。とにかく、色褪せは最小限にとどめたいところだ。
そこで今回は、色褪せを食い止めるうえで知っておきたい基礎知識と、メンテナンス法をご紹介しよう。
文/入江凱、写真/トヨタ、ホンダ、マツダ、写真AC
【画像ギャラリー】ボディカラーの色褪せを防ぐ策を講じよう!(19枚)画像ギャラリークリア層へのダメージが色褪せの原因
クルマの塗装に悪影響を与えるのは、酸性雨に太陽光(紫外線)、雪、鳥の糞や塩分を含んだ水などさまざま。そして、各メーカーともどんな過酷な環境下でも鮮やかなカラーが長持ちするような工夫を施している。
一般的にクルマには、素地となる金属面の上に、1.防錆効果のある下塗り、2.発色を良くし、耐衝撃性を持つ中塗り、3.色みを付ける上塗り(ベースコート)、4.光沢感や艶を与え、外部の環境から塗装を保護するクリア層という順で塗装が施されている。
色褪せは、表層部にあたるクリア層の劣化が原因だ。クリア層が紫外線などにさらされることで、色がくすんだり、白ボケしたようになり、最終的にはクリア層は剥がれてしまう。すると、無防備な上塗り以下の深層にまでダメージが広がり、色褪せへとつながっていく。素地が見えるレベルの重度な塗装の剥がれや大規模な色褪せになると、再塗装や補修が必要となるため、費用も高額になってしまう。
色褪せしやすいカラーは、黒系と赤系の色!
塗料の進化、塗装技術の向上によって年々色褪せは起きにくくなっているものの、それでも色褪せが発生しやすいと言われているカラーがある。それが黒と赤の系統だ。どちらの色も塗装に対して大きなダメージを与える紫外線の吸収率が高いためだ。
特に黒系の色は太陽光を吸収しやすいため塗装の表面温度の上昇が他の色よりも顕著となってしまう。急激な温度変化も塗装に悪影響を与えてる大きな原因となる。また、塗装表面の温度が高くなると塗装表面の汚れと塗装面との化学反応が激しくなるため、劣化を進行させてしまうのだ。
もうひとつの赤系の色は、色を構成する化合物の結合が弱いものが多いうえに、紫外線を吸収しやすいため、最も色褪せしやすい色とされている。本来真っ赤な郵便配達の車両が、色褪せして白っぽくなってしまっているのを見かけた記憶がある人も多いだろう。
一方、ベーシックなカラーとして人気のある白や青系、紫系の色は紫外線を吸収しにくいため、比較的色褪せや劣化が起きにくい色とされている。
現在は塗装技術の進歩もあり、以前よりは色褪せしにくくなっているものの、赤や黒以外のソリッドカラーと言われるメタリックやパールが含まれない色はメタリック系の色よりは色褪せしやすい傾向にある。特に、ひと昔前はソリッドカラーの車種の場合、上塗りを保護するクリア塗装がされていないことも多かった。
メタリックやパールは光を反射する細かい物質を塗料に含むため、そのままでは耐久性が低い。そのためクリア塗装をすることが前提となっており、ソリッドカラーのような心配はない。
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