塗装の劣化が進行すれば、単に見栄えの問題だけでなく素地となるフレームやボディ本体にまでダメージが及ぶ可能性がある
赤い色は塗装を傷める主な原因である紫外線を吸収しやすく、劣化が早いと言われている。原色に近いソリッドカラーのクルマにはクリア塗装がされていなかった時代もあった
「しにくい」というだけで白っぽいカラーやメタリック、パールでも変わらず劣化は進行するため、メンテンナンスは必要だ
4代目プリウスには温度が上昇しにくく、くすみや色褪せしづらいという世界初の遮熱機能を持つサーモテクトライムグリーンというカラーが用意されたが、現在はラインナップから外れてしまった
道路標識や看板を意識して見ていると赤い部分は色褪せ、青い部分だけ残っているものが見つかったりする。それだけ赤色は色褪せしやすいということだ
紫外線は塗装だけでなく樹脂パーツも劣化させる。安全性のために樹脂製が主流となったヘッドライトは紫外線に曝され続け曇ったり黄ばんでしまうものも多い
洗車やコーティングは基本的だが劣化を防ぐために有効な対策。手間はかかるが終わった後の美しい愛車の姿を見れば報われた気持ちになるはず
まずは水だけで落とせる砂埃や汚れを洗い流すこと。いきなりカーシャンプーを使用したり汚れが落ちないからと強い力で磨くのは塗装を傷めてしまうのでNG
とにかく小傷をつけないように洗車を。小傷は光の乱反射を招き、色褪せして見える原因となってしまう
水滴はレンズと同じ! 太陽光を集めて塗装面を焼いてしまう
コーティング剤を選ぶ時は、紫外線防御効果が高いものを。また、コーティングをすることで汚れを付きにくく、落ちやすくすることもできる
屋外の駐車で色褪せの原因となる紫外線を防ぐ方法は限られている。ボディカバーは有効な対策と言えるだろう。ただし、掛けっ放しにすると逆に塗装にダメージを与えてしまうことも
マツダの赤=ソウルレッドクリスタルメタリックは色褪せしやすい赤の常識を打ち破ったと言われている。複雑で深みのあるカラーは層を増やす必要があるがマツダはシンプルな3層でこれを実現した
マツダを象徴する「匠塗 TAKUMINURI」のカラーとして生み出されたソウルレッドクリスタルメタリック。写真はCX-3
2018年にフルモデルチェンジした3代目トヨタ センチュリーのエターナルブラック「神威(かむい)」は通常は3、4層で構成されるクルマの塗膜に対して7層も塗り重ねて作られた。ここまでプロテクトされていれば色褪せの心配も減るが……
トヨタは柔軟で弾性を持ち塗膜が破壊されにくく変形しても復元するクリア塗装「セルフリストアリングコート」を開発。2009年のマイナーチェンジでレクサスLSシリーズに採用された。写真は同じく「セルフリストアリングコート」を採用したCT200h
2代目エクストレイルでは軟質樹脂を配合したクリア塗装を施すことで洗車キズや爪など日常生活レベルのキズが時間の経過で復元する「スクラッチシールド」をバーニングレッド、サファイアブルー、ダイヤモンドブラックに採用。小傷による色褪せを防ぐことができる
全塗装となると、カラー、ボディタイプ、サイズにもよるが30万円前後はかかる。ただし、この価格も業者によって大きく変わることもある