スバルと言えば、独自性と頑固なまでのこだわりのクルマづくりを続けるメーカーというイメージを持つ人も多いはずだ。例えば、世界でもポルシェとスバルのみが採用する「水平対向エンジン」。さらに、他メーカーがセダンやステーションワゴンをラインナップから外すなか、いまだ、こだわりのセダンやステーションワゴンを世に送り出し続けている。また、アイサイトの前身であるADA(アクティブドライビングアシスト)の開発を他メーカーに先んじてスタートし、自動ブレーキの普及に多大なる貢献を果たすなど、枚挙に暇がない。
今回は、そんなスバルのこだわりが見て取れるクルマをピックアップ! それらの魅力を再考していきたい。
文/藤原鉄二、写真/スバル、トヨタ
【画像ギャラリー】一度は乗ってほしい! スバルの心意気を感じるクルマたち(16枚)画像ギャラリーステーションワゴンのパイオニアとしてのプライドを示す「レヴォーグ」
絶滅寸前と言われるなか、奮闘するのが90年代のステーションワゴンブームの起爆剤となったレガシィツーリングワゴンのDNAを受け継ぐレヴォーグ。
商用車ベースのライトバンが主流だった市場に、走り良し、見た目良しと、今までのライトバンのイメージを覆す新感覚のコンセプトで開発されたレガシィツーリングワゴンを投入することでステーションワゴンという新たなるジャンルを切り拓いたスバルならではのこだわりを感じさせる一台だ。
低重心とすることで実現するスポーティでスタイリッシュな外観デザインと走行性能へのこだわりもレガシィツーリングワゴンの時代から首尾一貫している。
2020年10月に登場した現行モデルは、新世代アイサイトを全車標準装備、3D高精度地図データと、GPSや準天頂衛星「みちびき」などの情報を活用した高度運転支援システム「アイサイトX(エックス)」を搭載したグレードを新たに設定するなど、安全性能を強化。
エンジンは低回転域から300Nmの高トルクを発生する新開発の1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボ“DIT”、ミッションはリニアトロニックというCVTを搭載することで、日常での扱いやすさを向上させている。
推しポイントは、ドライブモードセレクト(STI Sport/STI Sport EXに搭載)。スポーツカーのようなキレキレの走り、高級車のようなゆったりとした乗り心地重視の走りをスイッチひとつで切り替えることができる機能だ。ステーションワゴンながら、こんなクルマ好きの心をくすぐる機能を装備してくれるところからも「実用車とは言わせない!」というスバルのこだわりを感じることができる。
とにかく、国産ステーションワゴンが次々と市場から姿を消していくなか、レヴォーグを生産し続けるスバルの姿勢からは、ステーションワゴンというジャンルの立役者としてのプライドが垣間見ることができ、スバルファンとしてはちょっと嬉しかったりする。
逆風が吹くセダン市場のなかでも魅力を放つ”かっこいい”セダン「WRX S4」
ステーションワゴンと並び風前の灯と言えるのがセダン。他メーカーではセダンを縮小し、遂にはクラウンまでがセダンからSUVへ移行してしまうという悲しいニュースも……。現存するセダンのラインナップを見ても、クルマ好き、特に、若い世代のクルマ好きの心はときめかない……というのが正直なところだろう。しかし! そんな逆風のなかでもスバルはひと味違う、超かっこいいセダンを造り続けている。
それがスバルのフラッグシップセダンのWRX S4だ。ラリー好きならWRXという名を聞いただけで心躍るという人も多いはずだ。
2021年11月に発表された新型の注目点はなんといっても、最大出力275ps、最大トルク38.2kgmを発生する新開発の2.4リッター直噴ターボ“DIT”エンジン。従来型から排気量を400cc拡大することで、低速域から力強いトルクを発生させることで気持ちの良い立ち上がりと力強い加速が可能に。さらに、スバルパフォーマンストランスミッションと組み合わせることでクルマを操る楽しさを倍増させている。
また、レヴォーグ同様、ドライブモードセレクトも搭載。走りのスタイルをセレクトすることができる。こうした徹底した走行性能へのこだわりからもラリーの栄光を背負ったWRXのプライドが見て取れる。
押し出しの強いエクステリアデザインもスポーティなイメージを強調。力強く張り出したフェンダーなど、ある意味、オラオラ系のデザインは「セダン=おじさんなんて言わせない!」という気合いが感じられる!?