世界の自動車産業で巨大な連合が次々に形成されるなか、国内ではトヨタ自動車が、完全子会社のダイハツに加え、持ち分法適用会社とするスバル、さらに、マツダやスズキとも資本提携を結び、モビリティ開発などで「仲間づくり」を急いでいる。
そんな業界を取り巻く環境の目まぐるしい変化にも動じず、単独主義を維持しているホンダだが、果たしていつまでその自主独立路線を歩むのか。
行く末を案じるホンダファンも少なくない。
文:福田俊之/写真:HONDA
【画像ギャラリー】ホンダがローバーと提携していた時の共同開発車
自主独立のクルマづくりを貫くホンダ
もちろんホンダもまったくの孤立主義を貫いているわけではない。燃料電池や自動運転の開発では米ゼネラルモーターズ(GM)と提携しているほか、今後電気自動車(EV)やハイブリッド車の増加を見越して日立製作所と電気モーターの開発や生産を共同事業として行うことを決定している。
コネクティビティの分野ではライバル関係にあるトヨタ自動車とソフトバンクの連合であるMONET(モネ)にも参加している。
だが、中核ビジネスであるクルマづくりについてはあくまで自主独立。自分でモータリゼーションの明るい未来を描き、その思想に基づいて自分の思い通りのクルマを作り続けてこそホンダであるという意識は昔と変わらず持ち続けている。
少なくとも、国内外の巨大メーカーの下に入って親会社の顔色を伺いながらモノづくりをやるような事態に陥ることだけは避けたいというのが、すでに就任5年目に入った八郷隆弘社長以下、ホンダマンの誰もが持っている熱い思いであり、ホンダの誇りにもなっている。
利益率の低さが深刻
年間販売1000万台規模の巨大連合でなければ生き残れないと言われる今の時代にそんな生き方を見せつけることができれば、まさしくホンダドリームというものであろう。
だが、その自主独立路線に今、黄信号が灯っている。国内市場に目を向けても、軽自動車の「N-BOX」は9月時点の新車販売台数で25か月連続トップを続ける国内で一番売れているヒット車種だが、一生懸命売りまくっても余り儲からず、利益を稼ぎ出せていない。
ホンダに限らないが、安全装置、環境技術などの高価なシステムを標準装備にすることが求められたことで、クルマを開発するコストは急激に上がっている。
それでも薄利多売でもコスト削減などで利益を確保できるのであればいいが、特にホンダにとって最大のボリュームゾーンである低価格帯の四輪車については利益どころか減損損失を計上しかねないのが実態のようだ。
実際、ホンダの業績をみると、連結売上高は15兆円を超える、押しも押されもしない巨大企業だが、利益がそれについてこないのが悩みの種。2019年3月期の売上高営業利益率は4.6%。
経営の混乱が続く日産自動車やその傘下の三菱自動車、北米など販売不振のマツダなどに比べれば上回るが、それはアジアで生産し、アジアで売ることで高利益を得ている二輪事業に引っ張られてのこと。四輪事業に限ればわずか1.9%と「警戒レベル」を超えている。この利益率では明るい未来を描くことは厳しい。
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