■免許停止と免許取り消し処分の違い
免許の取り消し処分とは、文字どおりクルマを運転する資格である運転免許証をはく奪されてしまう、交通違反や事故に対して下される最も重い行政処分だ。
一時的に免許の効力が停止され、その期間が過ぎれば再度クルマを運転する資格を得られる免停処分とは大きく異なり、免許を取り消された人がクルマを運転するためには、いま一度、免許を取得し直す必要がある。
とはいえ、違反をしたその場で免許証を没収されるということはなく、(あくまで法律上ではあるが)その処分が確定して執行されるまではクルマを運転することが可能。
正式な取り消しの処分は、後日、公安委員会によって行われる「意見の聴取」手続きにおいて、違反時の状況および事実の確認や、それに関する質問、違反したドライバー自身の言い分などの聴取が行われた後に決定される。
この手続きによって、違反の内容に対して免許取り消しが妥当と判断されれば「運転免許取消処分書」が発行され、その日から違反者はクルマの運転ができなくなる。
ちなみに「意見の聴取」手続きの結果、違反したドライバー側の主張が認められ、免許取り消しが適切でないと判断された場合は、180日以下の免許停止などに処分が軽減されるケースもあるという。
また、免許の取り消し処分後は「欠格期間」が設けられるため、一定期間、免許の再取得ができなくなるのも知っておきたいポイント。
この「欠格期間」は、比較的軽微な「一般違反行為」であれば1年~5年、酒酔い運転やひき逃げといった重大な違反である「特定違反行為」の場合は4年~10年と、前歴や違反の内容によってその期間が大きく異なってくる。
もちろん「欠格期間」が満了しない限り違反者は免許を取ることができず、もし免許の再取得前にクルマを運転すれば「無免許運転」としてさらに厳しく処罰されることになる。
【画像ギャラリー】免許取り消しになると大変です!(9枚)画像ギャラリー■「欠格期間」満了後、免許を再度取得するには?
さて、無事「欠格期間」が終われば、すぐさま免許を再取得できるかといえば、世の中そう甘くはない。
取り消し処分を受けた人が再度免許を取得するには、まず「取消処分者講習」を受ける必要があるからだ。
この「取消処分者講習」は適性検査や座学、運転技能診断など、2日間・合計13時間に及ぶもので、過去に免許取り消しなどの処分を受けた人が、違反行為を再度繰り返さないための指導的な意味合いを持つもの。
「一般講習」と、飲酒運転等の違反をした人を対象とした「飲酒講習」に分かれており、受講後交付される「取消処分者講習受講修了証」を受け取ることで、再び運転免許を取得できる資格が得られることとなる。
この「取消処分者講習」は「欠格期間」中であっても受講することができるものの、発行される「取消処分者講習受講修了証」の有効期限は1年間であるため、それを過ぎての免許の取得には再度の受講が必要となる。
その後の免許取得の手順は、一般と同様、指定自動車教習所に通うか、運転免許試験場での一発試験を受けるかのふた通り。
更新時の有効期限切れによる“うっかり失効”などでは適用される学科試験や技能試験の免除といった救済措置はないため、通常通りの手続きや試験などを受けることとなる。
免許の取り消しとなれば、クルマの運転ができなくなるのはもちろん、その後の再取得のための時間や費用もバカにならないだけに、まずはそうならないためにも、日頃から交通ルールをしっかりと守ることが何より重要。
特に、酒酔いや酒気帯び運転は一発免許取り消しに直結することはもちろんのこと、他人の命を奪うこともある非常に危険な行為であるだけに、絶対にやめるべきだ。
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