ええええええ途中でマックに寄ったの!? ラリーに初参戦した小林可夢偉選手の走りを助手席から目撃してみた!!!

■レースを楽しむという気持ちを味わってみたい

ダート向けのセッティングにすぐさま気付いてしまうところがさすがトップドライバー
ダート向けのセッティングにすぐさま気付いてしまうところがさすがトップドライバー

 土曜日はレッキを行ないペースノートを作成します。「あまり情報が多いと走っている時に悩んでしまいそうなので(笑)、シンプルでいいです」といいながらも、コーナーの曲率やライン取りの指示などは初ラリーとは思えない正確さです。筆者もそれにシッカリ応えられるようにしなければ(汗)。

 さらに驚いたのは、リエゾン区間で普通に走らせている時に「ダートで気持ちよく走れるセットなので、舗装路では曲がりにくいかも⁉」とモリゾウ号の特性を瞬時に見抜いたことです。でも、「普段はサイド使うことはないので、どうしようかな」と言いながらも、何だか楽しそうです。

 せっかくなので、レッキ中の一般道の移動区間で色々な質問をしてみました。そもそも、なぜラリーに挑戦しようと思ったのか?

「プロドライバーをしていると、『レースを楽しむ』という瞬間がありそうでない。そんな中で『その気持ちを味わってみたいな』と思ったのがキッカケです。それにラリーは一般公道を走る競技ですが、山道を全開で走る機会は僕でも経験がありません。さらにこれまでのレース人生の中で参加型のモータースポーツ経験はなく、実際に体験してその魅力を多くの人に発信し、もっとクルマ好き、モータースポーツ好きを増やしたいなと」

■現状に満足しない点はモリゾウ氏と同じ

ラリーデビューを果たした小林可夢偉選手。筆者がコ・ドライバーを務めた
ラリーデビューを果たした小林可夢偉選手。筆者がコ・ドライバーを務めた

 ちなみに可夢偉選手は、現在WECやスーパーフォーミュラにレギュラーで参戦していますが、今回のラリーはもちろん、フォーミュラEやNASCARなどにも挑戦しています。パワートレインもジャンルもレース運営も異なる様々なカテゴリーに参戦する理由は?

「様々なレースを実際に経験すると、各々のよいこと/悪いことが分かります。そんな経験をモータースポーツ運営に活かせないかなと思っています」

「例えば、NASCARは年間30戦前後のレースが行なわれていますが、なぜそれが可能なのか? 実は練習時間は土曜日に25分しかなくその後にすぐに予選があり、日曜日にレース。そのため、普通のレースでは一般的なセットアップ作業はファクトリーを出る前にほぼ完了。つまり、現場でアレコレする必要がない→メカニックに負担がかからない→数多くのレースがこなせます。ちなみにWECもレース前にシミュレーションでセットアップを決めますが、NASCARはその精度がより高いところにあります。そんなことを他のレースカテゴリーにもクロスオーバーできると何か変わるかなと……思ったりしています」

 つまり、モリゾウ氏と同じく現状に満足することなく、常に「もっといいモータースポーツ」を模索しているのです。

【画像ギャラリー】モリゾウ選手もグラコロに舌鼓! ラリーでも速いことを証明した可夢偉選手のラリチャレ参戦の様子はここから!(17枚)画像ギャラリー

■WECもただ勝てばいいわけじゃない

さまざまなレースを経験してよいこと/悪いことを知ることが可夢偉選手のラリー参戦の理由
さまざまなレースを経験してよいこと/悪いことを知ることが可夢偉選手のラリー参戦の理由

 続いてTGR WECチームについて聞いてみました。実はWRCと並ぶTGRのワークスモータースポーツの重要な活動ながらも、筆者はその意義・魅力が上手く伝わっていないと常に感じていました。

 モリゾウ氏も「WECのチームは今も昔もプロフェッショナルですが、モリゾウが大事に、そして目指すチームの理想は、あくまで『家庭的でプロフェッショナル』という部分。WECチームはそこが足りない」と語っていますが、筆者も同様の考えを持っていて本サイトでも厳しい指摘をしています。その辺りについて反論があるかどうか聞いてみました。

「いや、その通りですし我々の大きな課題だと認識しています。ひとつ分かっているのは、WECは“勝つ事”が最大の目的ですが、ただ勝てばいいだけではないということ。さらにトヨタの中でWECの拠点であるTGR-E(ケルン)の存在意義も再定義しないとダメだと思っています。我々の持つ技術が量産車に活かせることはたくさんあると思っていますが、残念ながらその連携は限定的です。要するに『トヨタの中のTGR-E』であることを忘れてはダメだなと」

「さらにメディアへの発信の仕方も変えていく必要があると思っています。単にレース状況だけを伝えるのではなく、何のためにレースに出ているのか? レースを通じて何を伝えたいのかをより明確にしなければダメですね。そこは中にいると分からなくなることですので、シンヤさんのような外からの目で見たことを包み隠さず教えてほしいです。そのためには、WRCだけでなくWECにも、もっと取材に来てください(笑)」

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