クロスオーバー車に無塗装のバンパーやクラッディングでタフさを演出
1999年にデビューしたアウディオールロードクワトロはバンパーとサイドスカート、フェンダーアーチに無塗装のウレタンバンパーを装備して、ベースとなったワゴンから差別化を図り、クロスカントリーらしいタフさを強調した。
こうしたステーションワゴンをベースとした、クロスオーバーSUVは1998年にデビューしたレガシィグランドワゴンが先駆車だったが、発売当初は無塗装ではなく、2代目のランカスターから無塗装の樹脂製ホイールアーチ(最近ではクラッディングと呼ばれている)を追加している。
その後、2001年登場のボルボV70XCも無塗装樹脂製のホイールアーチやバンパーを採用し、ボルボは現在に至るまでクロスカントリーモデルにはフォグランプ部分とホイールアーチ、サイドスカートなどに、樹脂製部品を採用している。
その流れは、今でも続き、現行モデルでは、スバルアウトバック、XV、マツダCX-5、CX-30などのクロスオーバーSUVのホイールアーチやバンパー、フォグランプ部分が無塗装の樹脂製になっている。
言ってみればクロスオーバーSUVの樹脂製・無塗装バンパーは、ジープラングラーやメルセデスベンツゲレンデヴァーゲン、ランクル、パジェロなど本格派のクロカン四駆から無骨さを象徴するものとして採り入れたものではないだろうか。
商用車の無塗装バンパーとは?
さて本題の軽自動車を含む商用バンに見られる無塗装バンパーが使われているコストや利点について探ってみた。
あからさまに「コストを下げてます」と言わんばかりの見た目ゆえ、乗用系はもちろん商用車でも採用するモデル(とグレード)は少なくなっている。
それでも未だに生き残っているのは時代が変わっても、塗装には手間とコストがかかることの証左といえる。
街中でみかける無塗装バンパー(実際にはグレーとブラックの中間に近い)を装着した、乗用モデルを基本とした商用ステーションワゴンで、日産のADが目立つように思えるのは、部品の大きさが目立つからだろう。
旧世代のADバン/エキスパート(かつての乗用車のウイングロードがベース)から、黒バンパーといってもアンダースポイラーからサイド部まで一体成型品を装備して、フロントサイドまで回り込む大型部品になっているから、どこまでをバンパーと捉えるかは難しい。
フロントグリル下にのみ装着されているような、シンプルな無塗装バンパーが商用車でも減少傾向にあるのは、最近では乗用系でもごく普通になったグリル一体型のデザインが増えたことと関係があるはずだ。
ところで、最近では塗装済みという表現も、バンパー製品に使う上で微妙になりつつある。
自動車用の樹脂製品の世界では、部材を金型成型して生産する前段階の工程で、原材料そのものにあらかじめ着色しておく製法が開発された。
このような樹脂部品は「材着」もしくは「原着」製品と呼ばれ、後工程で部品に塗装を施すよりも見栄えや質感は劣るといえ、手間がかかる塗装工程が省けるので生産コストを抑えることができる。
結果として、ボディ外装のグリルやバンパー、サイドガーニッシュといった部品を中心に採用されるケースが増えている。
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