エンジニアの積年の夢を叶えた「可変圧縮比エンジン」
内燃機関の熱効率は圧縮比を上げるほど高まる。ところが圧縮比を上げていくと燃料が自己着火してしまい、燃焼制御が破綻してしまう。これは内燃機関が生まれて以来の技術者のジレンマだった。
この100年の問題を、量産車として世界で初めて解決したのが日産のVC(可変圧縮比エンジン)だ。日産はこの技術を2016年に発表、2018年にはインフィニティQX50に搭載して(KR20DDT型エンジン)、世界をアッと言わせたのだ。
その技術だが、ピストンをクランクシャフトに連結しているコンロッドにリンク機構を設けることで実現している。詳細は省くが、このリンク機構でコンロッドの長さを伸縮させることで、8:1から14:1まで、圧縮比を自在に可変させているのだ。日産はこのKRエンジンにターボを組み合わせ、低圧縮比状態のときはターボの過給圧を高める工夫もしている。
VCエンジンは、インフィニティQX50の4気筒エンジンで実現された後、そのうちの1気筒を落とした1.5L3気筒エンジンとしても実用化された。ご存知エクストレイル(北米名ローグ)が積むKR15DDT型エンジンがそれだ。
日産がそのエンジンを、伝家の宝刀e-POWERと組み合わせてハイブリッドとして使っているのはご承知の通り。EVへの橋渡し役としてハイブリッドの価値が高まっている現在、高効率なVCエンジンもより長期に渡って輝き続けるに違いない。
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コメント
コメントの使い方アテーサE-TSにしても、VCターボにしても、特別な車種だけではなく、コスト的問題を解決して量販車に広く設定している点が最大の特徴かと思います。
VCターボは一時期信頼性の問題が指摘されましたが、現在は解決している様で、本来であればディーゼルの排ガス規制対策に用いるべき技術かと思います。
VCターボって、マツダのSPCCIに通じるものを感じます。市販化したのは凄い事かもしれませんがコストアップに対して得られる効果が見合わない。
これが80年代後半から90年代前半に出てきたなら拍手喝采で迎えられたかも知れませんが。
マツダのSPCCIは残念でしたが、VC-Tは費用対効果が見込めるようですね。
アルティマに採用された第一世代に信頼性の問題が指摘されましたが、改良されているようですし。
エクストロイドCVTもアテーサも今ではもうないですからねー。それもこれも過去の勢いのあった頃の日産の話。
今ではVCターボがありますが、耐久性的にどうなのか?とにかく今の日産は車好き(国際的レースで勝ちたいとか本当に乗って楽しい、快適等)が開発しているって感じがしないですね、セレナのATセレクターの件にしても。
e-POWERも枯れた技術の水平利用で、投資せずに最大に効果を得られた、素晴らしい機転です。
開発費の回収が少なく済むうえ、トヨタやホンダのストロングHVのように原価も高くないので安く設定できる。
現状さえ無ければ、窮地の日産を救った特大アイデア、としてドキュメンタリー化されたレベル。これらすら台無しにした経営陣・・・
とは言え、日産はアテーサE-TSやエクストロイドCVTなど、当時最先端とも言える技術がありましたが、残念ながら耐久性、整備性の問題から廃れてしまいました。VCターボも構造を見ると耐久性に不安があるように見えますが、どうなんでしょうね?
まぁ メーカーの耐久試験を通過する程度は有るンでしょうケド 改造には不向きでしょうね