クルマのメンテナンスの「基本のき」である「オイル交換」。しかし最近では、エンジンそのものの耐久性が向上し、さらにエンジンオイルの性能も進化したことで、オイルの消耗や劣化のスピードが抑えられ、交換サイクルは昔よりも長くなっています。
はたして令和の時代のクルマは、どのくらいのサイクルで交換をするべきか!? そもそもオイル交換は必要なのか!?? オイル交換の最新事情をご紹介しましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_doucefleur/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】オイル交換の頻度は? 最新車でも必須なの?【必須に決まってるだろ!!!】(7枚)画像ギャラリーオイル交換の交換サイクルは15,000kmまたは1年ごと
エンジンオイルの交換タイミングについては、かつては「5000kmごと」とされていましたが、現在JAFが推奨している交換の目安は、一般的なガソリン車では15,000kmまたは1年ごと、ガソリンターボ車や軽自動車(NA)で10,000kmまたは半年、軽自動車のターボ車は5000kmまたは半年、ディーゼルエンジン車は10,000kmもしくは1年、となっています。
ただ、悪路走行が多い場合や走行距離が多い場合、山道を頻繁に走行する場合など、シビアコンディションで使用しているクルマの場合は、上記の半分のタイミングで交換するよう、JAFは推奨をしています。

オイル無交換・無補充をするとエンジン停止に陥る
以前と比べると、2倍以上も長くなっているオイル交換タイミングですが、これは、エンジン本体の性能が向上したことに加え、オイルの耐久性も向上したため。2000年以降、急速に高まった環境保護の観点から、できるだけ廃油を減らそうとオイル性能の改善がなされたことで実現されました。昨今の新車販売の半数以上を占めるハイブリッド車(自販連のデータによると、2024年の乗用車におけるハイブリッド車(PHEV除く)の割合は62%)の場合は、エンジンオイルが汚れにくいため、さらに交換サイクルは長くなります。
ただ、交換しなくてよくなったわけではありません。劣化しにくくなったとはいえ、エンジンオイルは、時間の経過やクルマを使うことで徐々に性能が劣化し、それに伴ってエンジンからの音や振動は徐々に大きくなっていきます。
それでも交換をしないでおくと、オイルスラッジと呼ばれる汚れがエンジン内部で蓄積、あるタイミングで焼きつきを伴って、エンジンは動作不良となり、最終的には停止にいたります。使い方にもよりますが、オイル無交換、無補充で10万キロを超えるとこのような事態に陥ってしまうことがあるようです。

推奨タイミングで交換しなくても直ちに影響はないが、エンジンには確実に負担がかかっている
エンジンオイルは、同じ走行距離であっても、短距離移動だけに使われていたクルマと、仕事で毎日長距離の運転をしているようなクルマでは汚れ具合が違ってきますし、ドライバーの運転操作のクセや、走行場所、季節、地域などによってもオイルの汚れ具合は異なります。前述したJAFが推奨するタイミングが、シビアコンディションの場合は交換サイクルが半分にまでなっていたように、交換が必要となるタイミングはクルマの使い方で異なってくるのです。
ユーザーの使い方次第で汚れ具合が違ってくることから、オイル交換の推奨タイミングは、ユーザーがどんな使い方をしていてもエンジンに不具合が生じないよう、ある程度余裕をもって設定されています。
そのため、一般的な使い方であれば、推奨タイミングで交換しなくても、直ちにエンジン性能に影響が及ぶことはありませんが、エンジンオイルは、ユーザーが見た目で交換が必要か判断することが難しく、そのためユーザーが把握しやすい走行距離や経過月数で交換タイミングが示されているのです。
推奨タイミングで交換しなくてもクルマが壊れないことで「オイル交換ってしなくてもよくない?」となっているユーザーもなかにはいるようですが、オイルは確実に劣化していますし、オイルが劣化することでエンジンには明らかに負担がかかっています。
やはりオイル交換は、推奨タイミングで行っておきたいところ。エンジンオイル交換をした直後は、ノイズが静かになり、エンジン回転も滑らかになり、クルマが新車の時のように蘇ったように感じられます。愛車をいつまでもよい状態で保つため、オイル交換は、適切なタイミングでするようにしてください。
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