4代目ジムニーが登場したのは、2018年7月。
登場するやいなや、大人気となり、その人気はいまだ衰えることを知らない。なんと一時は、納車待ちが2年以上もあったそうだ(現在もさほど短くなっていないらしい)。
「ジムニーらしさ」がにじみ出た無骨なデザイン、耐久性の高いラダーフレームや頑丈な前後リジットアクスル、狭い道でもグイグイ進めるコンパクトなボディなど、ジムニーが売れる理由はいくつか考えられる。
これほどまでにジムニーが人気な理由は、いったい何だろうか。
文:吉川賢一、写真:スズキ、トヨタ
なぜジムニーは愛されるのか?
ジムニー/ジムニーシエラの最大の強みが、「悪路走破性」であることは、言うまでもない。
「遊べる軽」として人気のSUVタイプのスズキハスラーのような「なんちゃってSUV」では、到底走破することができない土煙の立つオフロードや、雨でドロドロになった悪路、ゴツゴツした岩が転がる岩場などを走ってみたくなる、そんな魅力がある。
とはいえ、こうした「走破性が高いSUV」という理由だけでジムニーが売れているのであれば、車格が大きく違うとはいえ、トヨタのランドクルーザーや、
すでに国内販売は中止ではあるが、三菱パジェロなどの本格クロカンが、もっと売れていてもおかしくはない。
ジムニーが売れ続ける最大の理由は、“ジムニーがユーザーの期待を決して裏切らないことにある”と筆者は考えている。
本物の4WDは人々の命を救う
ジムニーにまつわる、こんな話がある。
「初代ジムニーを最初に購入した人には、お医者さんが多くいた。舗装されていない道が多い、山村にある診療所の医師たちだったそうだ。
1970年代当時の山道は、雪や雨が降ると、ぬかるみでスタックをしたり、上り坂が登れなかったりと、普通乗用車では患者がいる所まで辿り着けず、急患を運ぶことができなかった。
しかし、ジムニーの登場によって、これまでは困難だった人々の命を救うことができた。」
走破力の高い4WDシステムをもち、取り回しが良くコンパクトなボディのジムニーならば、狭い山道でも通ることができ、悪路にも対応できる。まさに、本物の4WDシステムだからこそ、人々の命を救うことができたという話である。
この話は、スズキ自動車が、ジムニーの市場調査で作成した資料に残っているそう。ジムニーユーザーが、ジムニーに求める4WD性能を、ジムニー開発を担当するスズキのエンジニア達がしっかりと把握し、その開発理念が脈々と受け継がれている。
だからこそ、他メーカーのみならず、当のスズキ自動車でさえ、舗装路での快適性を中心に性能向上させていくのとは一線を画し、ジムニーは頑なに「オフロードを走行できるコンパクト4WD」として、作り続けられているのだ。
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