【黎明期から爛熟の現代まで】国産スポーツカー 波乱万丈70年の歴史を辿る

■1970年代はスペシャルティカーが台頭する

●スペシャルティカーの台頭

 旧スポーツカー時代からの大きな違いは、明確にベースとなるセダンなどのモデルが存在し、シャシーやエンジンなどを共用しながら、クーペスタイルの流麗なエクステリアを与え、スポーティなクルマを作り上げたところにある。1969年に初代フェアレディZが登場し、翌1970年には初代セリカが誕生し、『旧スポーツカー時代』から新たな『スペシャルティの時代』へといっきに時代は移っていくのであった。

 こうした1960年代の旧スポーツカー時代から一転、1970年代に花咲くのがスペシャルティカーだ。

 スポーツカーとスペシャルティカーの違いに明な線引きは難しいのだが、一般的にはセダンなどの実用的乗用車のコンポーネンツを共用しながら、流麗なクーペスタイルのボディを纏ってスポーティなクルマに仕立て上げたモデル、とされる。

 その線引きで言えば、ベレGもスペシャルティカーではないか!? という見方もできるが、明らかにメーカー側が意識してそうした車両開発に取り組んだのは1969年に登場した初代フェアレディZで間違いなかろう。

日産 フェアレディZ

 トヨタからはコロナの基本コンポーネンツを活用し、カリーナとともに開発された初代セリカが1970年12月に登場し、人気を博す。

トヨタ 初代セリカ

 いすゞ117クーペ、三菱 ギャランGTO、マツダ サバンナなど、スペシャルティカーが台頭し、旧スポーツカー時代を一掃し、新たな時代の幕開けとなったのだ。

サバンナGTはハイパワーな12Aロータリーエンジンを搭載してスポーティな走りを見せつけた
サバンナGTはハイパワーな12Aロータリーエンジンを搭載してスポーティな走りを見せつけた
1960年代後半から1970年代中盤に掛けて 次々とスペシャルティカーが登場した。写真は三菱ギャランGTO
いすゞ117クーペ

 しかし、このスペシャルティ時代を襲った悲劇が1973年前後に勃発したオイルショックと排ガス規制の強化であった。

 高性能エンジンを搭載するスペシャルティカーは、当時ソレックスやウェーバーといった高性能キャブレターを装備し、高回転高出力型エンジンは有鉛ハイオク仕様とされるものがほとんどだった。

 オイルショックでガソリンが枯渇し、価格は高騰。ガソリンを無駄に消費すると見られたモータースポーツは批判の対象となり、高性能車も社会の敵と見なされた。

 この時期モータリゼーションの拡大に伴って交通事故も増加し、死亡事故件数もいっきに増大した。

 スポーツカーは「社会悪」とされ、また、触媒レスの有鉛ガソリンエンジンは公害をまき散らす悪役となり、その存在を否定されたのだ。

 この時期の日本車のエンジンは、強化された排ガス規制に対応するためにパワーを絞り、スポーツカーと呼べるクルマは次々と姿を消していったのだ。

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