2025年10月に発表された、マツダ スピリット・レーシング ロードスター。一部のロードスターファンが待ち望んだソフトトップの2Lの走りはいかほどのものだろうか? 惜しくも販売抽選に漏れた渡辺敏史氏が「せめて試乗は……」と意気込む!?
※本稿は2026年4月のものです
文:渡辺敏史/写真:奥隅圭之
初出:『ベストカー』2026年5月26日号
2台の限定ロードスターに試乗
マツダのモータースポーツ活動全般を統括するブランド「マツダ・スピリット・レーシング」(以下MSR)を冠した初のモデル、MSRロードスターが発表されて半年余の時が経つ。ようやく迎えた公道試乗の機会、ここでは興味深い2点にフォーカスしながらその印象を記そうと思う。
まずは、多くのND型ロードスターオーナーが最も気になるであろう、2Lモデルのドライブフィールについて。一部カスタマーに熱望されていた幌モデルの2L化だが、欧米ではむしろそれが標準仕様でもある。
日本仕様は純潔を貫く覚悟で幌モデルは1.5Lにこだわってきたが、今回はMSRブランドにちなみシャシーも含めて全般に手が入れられた特別仕様ということで2L化が許されたということになるだろうか。
余裕のトルクはもちろんだがデメリットも!?
当然ながらその力感は大きく異なる。瞬発力に速度の乗りや伸びという有り体な面もさておき、大きいのは低回転域からのトルクの厚みと粘り強さだ。
発進時のクラッチミートはもちろんのこと、ギアをポンポンと上げて1500rpm前後を用いながらの巡航からの緩加速、交差点を停まるか否かの速度で進みつつ再び加速……など、2速以上で頻用する場面で扱いに気遣うことがない。
そして高速域でもトップギアに放り込んでおけば70~120km/hの速度域での加速をアクセル操作だけでこなせるなど、逐一変速を求められる1.5Lに比べると運転の安楽ぶりは段違いだ。そういう点からみれば、図らずもロードスターのGT的な素養が強調されるという一面もある。
そのぶんというわけでもないだろうが、クルマの動きはよくも悪くも据わりがいい。車重的には50kg前後の差に過ぎないが、専用設定された足まわりやタイヤ、補強されたボディなど構成要素が強くなったぶん、ヒラヒラと身を翻す運転感覚はやや薄まった。
それでも今日のスポーツカーとしては圧倒的に軽やかだが、糸操りの人形を綺麗に操るようなところに歓びがあった1.5Lモデルの独創性からは少し退けていることは認識すべきだろう。
【画像ギャラリー】幌モデルに2Lって最高じゃん!! MSRロードスター&12Rの特別装備を一挙公開(32枚)画像ギャラリー2Lモデルをより過激に仕上げた12R
この2Lユニットをベースに専用カムやエキマニ、ピストン&リング類を手組み、さらに吸気ポート研磨も加えたのが12Rのエンジンだ。16psアップで200psの伸び代は、3000rpm向こうから回すほどに力感を高めるその過渡にしっかり感じ取れた。
特に6000rpmからトップエンドに向けてのもうひと伸びの気持ちよさは、手仕事の有難みをしみじみと感じさせてくれる。
さらにシングルマスのフライホイールを組み合わせたエンジンの軽快なピックアップもMSRロードスターとは大きく異なるところだ。が、それでも発進や低回転域の扱いづらさをまったく感じないのは、まさに2Lの地力に軽い車重の相乗効果といったところ。
RSやNR-Aに用いられるビルシュタインダンパーを基とする足回りはMSRロードスターにも増してカチッとしたフィードバックがもたらされるが、これも12Rならではの装備や仕様、とりわけタイヤのケース剛性によるところも大きいだろう。それでも乗り心地が著しく荒れないところに味付けの旨さを感じる。
12Rの本籍地はと問われれば、それは間違いなくサーキットだ。が、公道でも著しい不快さはないくらいの柔軟性も持ち合わせてはいる。対してMSRロードスターの軸足は明らかに公道の側だ。一方で、この2モデルの登場によって1.5Lの完璧な価値が削がれることもまったくない。
それどころか、MSRレーベルのリミックスのおかげで、日本でしか味わえない原曲の価値は高まったともいえる。
【画像ギャラリー】幌モデルに2Lって最高じゃん!! MSRロードスター&12Rの特別装備を一挙公開(32枚)画像ギャラリー



































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