不確実性が高まる中でも収益を出せる『ブランド価値経営』
毛籠社長は「2030経営方針」を打ち出し、「マルチソリューション戦略」「ライトアセット&協業戦略」、そして「ブランド価値経営」を推し進めている。
マルチソリューションで温暖化抑制に取り組み、大規模投資を行うことなく電動化に対応していくとするのが「マルチソリューション戦略」だ。「ライトアセット&協業戦略」は2030年までの電動化投資額を2兆円としていたものを1.2兆円に最適化。長安汽車との共同開発を加速させ、投資効率と収益性を確保しながら電動化の進展が早い地域から販売していくというものだ。
こうした戦略のもと、「現在の収益性」と「将来の選択肢」を両立させながら、ハイブリッド車の4車種への拡大やラージ商品の商品力強化、次世代電池や電動化時代の内燃機関・プラットフォーム開発、カーボンニュートラル燃料への投資など、商品・技術への投資を進めている。
「ブランド価値経営」では、向かっていくべき「北極星」として「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というブランドパーパスを設定し、すべての活動をその実現に向けて進めている。
台数を頼みにすることなく、お客さまから選ばれる会社になるために、資本効率を高めながら独自価値を磨き続けるという考え方で、不確実性が増すなかでもしっかりと利益を出せる構造へ経営を進化させるという毛籠社長の強い意思が感じられる。
「マツダらしく“社員がクルマ好きであふれる企業”を目指します。クルマや商品、技術、サービスはパーパスを実現する手段だと思っています。目標は販売台数ではなく、160万人のお客様に選ばれ続ける企業になること。信頼と共感を獲得し、お客様を起点に考え、独自の価値を尖らせてお客様に選ばれ続けるブランドを目指します」
そうした「量」ではなく「価値」で戦い、収益を上げていくという毛籠路線の真価を問うことになる第1弾が新型「CX-5」だ。
PROFILE
毛籠勝弘(もろ・まさひろ:1960年京都市生まれ)
マツダ車の販売店に勤め、さらには釣りやハンティングなどをたしなむ趣味人だった実父の影響もあり、幼い頃から“車のある生活”を実感。京都産業大学法学部卒業後の1983年、ブランドへの愛着もありマツダへ入社。以来、一貫して営業、グローバル販売、ブランド戦略の最前線を歩み、欧州、北米、日本を股に掛けて現場経験を積み上げる。
2016年1月に「マツダモーターオブアメリカ, Inc.」の社長兼CEOに就任。単なる“値引き販売”から脱却し、お客様志向を軸にした「ブランド価値戦略」への転換を実現。2023年6月にマツダの代表取締役社長兼CEOに就任し、同社が掲げる2030ビジョン「クルマ好きの会社になる」という方向性がより鮮明に。「量」ではなく「価値」で戦う毛籠改革の真価が新型CX-5で問われる。
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