ゴルフは一般解ではなく、特殊解の一つと考えるべきクルマ
例えば、燃費ならばカローラスポーツHYBRIDの方が良いし、車室内の広さはインプレッサスポーツの方が広く感じるし、ディーゼルエンジンもマツダ3の方がエンジンノイズも静かだしトルクの出し方も品が良くも感じる。
そして、この3台とも、コーナリング性能に関しても、ゴルフに負けているとは決して思えない。
高速直進安定性も、ACCとレーンキープアシストを入れて走るのが一般的になった今では、どのクルマも並んでいるような状況だ。それでも、ゴルフが好まれる理由とは何か。
ゴルフが好まれる理由とは?
ゴルフに乗る機会があれば、先入観なしで運転をしてみていただきたい。運転中は、あまり特徴がないクルマに感じるかもしれない。むしろ、DCTの癖が走りにくい、と感じるかたもいるだろう。
しかし、ゴルフは、長距離を走り終えたあと、「やっぱりよかったな」というほどよい後味が残るのだ。それは、単なる「快適性」というものではなく、「安堵感や癒し」というものに近い。そうした感覚がずば抜けて高い。
この味付けができるフォルクスワーゲンのエンジニアの皆さんは、同じく自動車メーカーで運動性能設計をしていた筆者からすると、ものすごく「いい仕事をしている」と感じる。
そして、さらに言うと、ゴルフを見ておけば、その時代に求められるすべての性能の方向性がよく分かる。
その時代のトレンドに沿って、常に平均点以上をとる大衆車になるよう、ボディサイズやトレッドを変え、車両パッケージングを見直し、走りの性能や燃費性能を高め、ディスプレイメーターなどの新技術にも素早く手を出す。しかも、一般市民が購入できる価格帯で、だ。
目の前の新型車が、ゴルフに対して、どれほど良いのか悪いのかを評価することで、ものすごく評価基準がクリアにできる。
「ゴルフに対して」と言葉に出さずとも、多くの自動車評論家の方は、心の中では思っているに違いない。それゆえに、自動車評論家の方々は、ゴルフを重宝がっているのではないかと思う。「ゴルフ=定規」として、扱っているのではないだろうか。
まとめ
ゴルフGTIやゴルフRなど、派手なスポーツグレードではない、ベーシックなゴルフこそがゴルフの魅力だ。
人々の生活により沿ったクルマであるからこそ、長年ヨーロッパで40万台以上(月間で3万5千台以上!)も売れ続ける理由なのではないだろうか。
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