1月から3月までデリバリーを中止した弊害
初期型でもまったく気にしないと感じているのは、いち早くスープラを購入し、すでに500ps仕様を完成させたチューニングショップ・レボリューションの青木社長だ。
「ウチではコンピュータとカーボンインダクションボックス、スポーツ触媒、パイピングを変更するくらいの仕様で、すでに最高出力500ps、最大トルク80kgmの仕様を完成させていますから、初期型でも十分だと考えています。カッコも変わりませんしね」とのこと。
「お客様で12月納車のクルマと4月納車のクルマがありましたが、車体番号がかなり近かったんです。聞けばスープラは輸入してトヨタで完成検査をやり直してからデリバリーという流れでユーザーに納車されるらしいんですが、コロナ騒ぎもあって、1月から3月まではデリバリーが中止されていたみたいですね。だから今回のようなゴタゴタが起きたのかもしれませんね」と青木社長は語っていた。
このように、今回のキャンセル騒ぎはかなりのイレギュラーがあったのかもしれない。また、共同開発を行うBMWの都合もあっただろう。
だが、例え何があろうとも、オーダーしてくれた方の手元に届く前に進化してしまう、もしくは進化を発表してしまうのは、ちょっと問題があるように感じる。
スープラと同様、少量生産のスポーツカーであるNSXでも、実は同じような事態が発生していたと聞く。ひょっとしたら、ともに帰国子女であるが故の問題なのかもしれない。納期と進化、これは課題として考え直してほしい。
初期ユーザーに対するフォローが必要
かつてベストカーWebで86の進化を綴ったことがあった。スープラ同様、86もまたスポーツカーであることを忘れず、毎年のように地道な進化を行っていた。
だが、それは初期型ユーザーであっても、パーツをちょっと買い足すだけでマネできるレベルに留めていた。それはいま考えてみればそれは絶妙であり、そこでユーザー達が盛り上がることもできた。
極端に変化をするのは、小さな進化が熟してから。その姿勢がファンを生み、86文化を作り上げたひとつの要因だったように思える。
そこでスープラにいま求めるのは、初期型ユーザーに対するフォローだ。
変更箇所は多岐に渡るため、かなり難しい部分もあるだろうが、エンジン、ボディ、サスペンションといったパートごとに、アップデートが可能なプログラムを構築してみてはどうかと考えた。
キット販売してどこでも取り付け可能な体制にすれば、ユーザーは、「新型を真似してみようか」とポジティブに受け止められるような気がする。
「もうスープラはいらない」というユーザーを一人も生み出さないために、そして進化し続けるスポーツカーが敬遠されないためにも、次なる対策を待ち望んでいたい。
コメント
コメントの使い方