なぜモデルチェンジ減少? 大規模マイナーチェンジ車の狙いと評価


以前よりもプラットフォームの解析能力が高まった

 プラットフォームなどの解析能力が高まったことも、フルモデルチェンジの周期が伸びた理由だ。

 以前に比べると、プラットフォームを刷新しなくても、効果的な補強や先進の溶接/接着技術によってボディ剛性やサスペンションの取り付け剛性を向上できるようになった。

2020年6月に発表された新型レクサスISのプラットフォームは変更なかった

 開発者の多くは「使い慣れたプラットフォームでは、何をやると、どのような効果が得られるのか、ほとんどすべてを把握できている」と述べる。

 逆に「新開発されたプラットフォームで造られた最初の車種では、使い切れていない面が残ることもある。そこをマイナーチェンジなどで改善していく」というコメントも聞かれる。

 開発者の話を総合すると、プラットフォームは畑のようなものらしい。開墾した直後はねらった通りの成果が得られないが、いろいろな作物(車種)を育てる過程で改良を加えていくと、優れた商品が育つ土壌に熟成される。

 そして何をやると、どのような効果が得られるのか、すべて把握できた状態に至るわけだ。そして今では、マイナーチェンジでも熟成を進めることが可能になった。

 このほかフルモデルチェンジが売れ行きに与える影響が変化した事情もある。

 昔はフルモデルチェンジすると売れ行きが増えて、その後は下がるが、マイナーチェンジで再び少し盛り返し、下がったところで改めてフルモデルチェンジを行った。

 しかし今は違う。販売ランキングの上位車種は、いつも顔ぶれが同じだ。軽自動車のN-BOX、タント、スペーシア。

 小型車のアクア、ノート、フィット、シエンタなどは、発売から次期型にフルモデルチェンジされるまで、何年間も高い人気を安定して保つ。逆に不人気車は、発売直後から伸び悩む。

シエンタ

各メーカーのモデルチェンジの周期の見極め方はいかに?

 フルモデルチェンジやプラットフォームを刷新する周期の見極め方は、メーカーによっても異なる。

ヴォクシー3姉妹のプラットフォーム周期は長い

 例えばホンダステップワゴンは比較的短い期間でプラットフォームを改め、トヨタヴォクシー系3姉妹車は周期が長い。

 ホンダの開発者は「ヴォクシー系3姉妹車のように好調に売れれば、ウチならフルモデルチェンジの度にプラットフォームを新開発できる。

 しかしトヨタはそれを行わず、従来のプラットフォームを補強したり流用する」と述べた。

 プラットフォーム開発も含めて、コストに対する見方はメーカーによって違う。ホンダは刷新しやすく、トヨタはハードルが高いようだ。

 そして近年では、マイナーチェンジで可能なことが増えたものの、フルモデルチェンジしないとできないことも依然として残る。

フルモデルチェンジしないとホンダセンシングを装着できないという。(ホンダセンシングイメージ画像)

 ホンダの開発者は「軽自動車の場合、ホンダセンシング(安全装備+運転支援機能)は、フルモデルチェンジを行わないと装着できない。

 N-WGNもマイナーチェンジでは対応できず、現行型の登場まで待つ必要があった」と述べた。

 フルモデルチェンジとマイナーチェンジを上手に使い分けることが、今後のクルマの健全な進化に繋がる。

 特に昨今のようにフルモデルチェンジが難しくなると、マイナーチェンジを確実に行うことが大切だ。

 他車のフルモデルチェンジで採用した先進装備を、時間を置かずに他車にもマイナーチェンジで採用することが求められる。このマイナーチェンジの活用は、マツダが上手に行っている。

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