三菱次期エクリプスクロス&アウトランダーが最激戦区に挑む!!

■販売店が語る期待値と 復調のために求めたいバリエーションの必要性

 気になるのは新型SUVの発売時期で、三菱の販売店では以下のようにコメントした。

「エクリプスクロスは、取りあえず(2020年)11月頃に販売を一度終了する。コロナ禍の影響もあるから確定的ではないが、改めてマイナーチェンジを実施して発売する。この時に新たなモデルとして、エクリプスクロスPHEVも加える予定だ」

「アウトランダーも(2020年)10月頃には終了する。アウトランダーは現行型の登場から7~8年を経過するため、2021年に入ってフルモデルチェンジを受ける」

 ユーザーの反響についても尋ねた。

「エクリプスクロスでは、ディーゼルの注目度が高いが、PHEVを求めるお客様もいる。アウトランダーPHEVはボディが少し大きく、運転感覚も安定性と乗り心地を重視した。スポーティな走りを好むお客様には、エクリプスクロスPHEVが合っている」

 アウトランダーではPHEVの販売比率が高く、2020年1~6月は78%を占めた。またデリカD:5とエクリプスクロスに搭載されるディーゼルも、大切なセールスポイントになる。従って三菱の特徴的なメカニズムは、PHEV/ディーゼル/先進的な4WDとされ、売れ行きを伸ばすためにもこの3点セットを幅広い車種に用意することが必要だ。

 その第1弾がエクリプスクロスのマイナーチェンジになる。エンジンは現在も搭載される1.5Lガソリンターボ、2.2Lクリーンディーゼルターボにプラグインハイブリッドを加えるから、3種類の選択肢が得られる。

 このほかエクリプスクロスではフロントマスクのデザインなども変更するが、売れ行きを積極的に伸ばすには、複数の特徴やバリエーションが必要だ。

 オフロード感覚を強めたグレードは不可欠だろう。今は都会的な雰囲気のSUVが増えており、この反動で、ユーザーの間にSUVの原点回帰が芽生えている。例えばRAV4やライズは、前輪駆動ベースのシティ派SUVに分類されるが、外観は後輪駆動ベースのオフロードSUV風で販売も好調だ。

 エクリプスクロスの場合、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は175mmを確保して悪路走破力も相応に高いが、オフロード感覚と野性味をさらに強めたグレードも欲しい。現行型はスポーティだが、少し背の高いワゴンという感覚でSUV特有のインパクトは弱い。現状のM/G/Gプラスパッケージに、オフロード指向のグレードも加えたい。

一見スポーティなシティユースのSUVかと思うが、三菱自慢のS-AWCなどを搭載しており悪路走破性の高さは特筆すべきものとなっている

■ライバルとの比較で見えてくる価格面の重要性

 価格も大切だ。RAV4にもPHVが加わり、今は受注を中断しているものの、強敵であることに変わりはない。SUVスタイルの電気自動車として、日産「アリア」も登場する。今後はモーターを使う競争相手のSUVが増えるので、エクリプスクロスも価格を割安に抑えたい。

 アウトランダーのノーマルエンジンとPHEVの価格を4WD・Gプラスパッケージ同士で比べると、PHEV・Gプラスパッケージ(458万2600円)は、ノーマルエンジン車に比べて116万1600円高い。

アウトランダーPHEVのバッテリーの総電力量は13.8kWh、EV走行距離は65km(JC08モード)となっている

 充電機能のないベーシックなハイブリッドは、ノーマルエンジン車に比べてコンパクトな車種で40万円、ミドルサイズ以上では50~60万円上まわる。従ってアウトランダーPHEVの価格は、ハイブリッドの価格上昇分に加えて、60万円前後がさらに上乗せされている。この価格差をエクリプスクロスに当てはめると、PHEV・Gプラスパッケージが433万5100円になり、RAV4 PHVの4WD・G(469万円)に近付く。

 RAV4 PHVは総電力量が18.1kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載して、1回の充電で走れる距離は最長で95kmだ。動力性能も強化した。対する現行アウトランダーPHEVは、13.8kWh・57.6kmにとどまるから、同等の機能をエクリプスクロスPHEVに移植して価格が430万円を超えると割高になって好調に売るのは難しい。

フロントモーターとインバーターの高出力化、新型リチウムイオン電池の採用などにより、システム最大出力306psを発揮する「RAV4 PHV」。駆動用リチウムイオン電池の総電力量は18.1kWhで、アウトランダーPHEVより大きい

 割安感を訴求して売れ行きを伸ばすには、ハイブリッドの価格上昇が40万円、プラグインが30万円として合計約70万円の上乗せだ。そうなるとエクリプスクロスPHEV・4WD・Gプラスパッケージの価格は387万円前後になる。RAV4 PHV・Gに比べて80万円以上安く、プリウスPHV・Aナビパッケージ(404万7000円)と比較しても少し下まわる。

 エクリプスクロス全体の価格構成としては、4WDのGプラスパッケージで見ると、1.5Lガソリンターボが317万3500円、2.2Lクリーンディーゼルターボが347万4900円、PHEVが387万円だ。PHEVをここまで安くするのは困難だが、エクリプスクロスを1カ月平均で1500台前後登録するには、野性的なグレードと併せて割安な価格を抑えることも大切になる。

 また現行型を見る限り、エクリプスクロスとアウトランダーでは、車両の性格が重複している。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値は、RVR、エクリプスクロス、アウトランダーともにすべて2670mmで共通だ。

 RVRは全長を4400mm以内に抑えたものの、ホイールベースは同じだから、似通ったSUVが並んでしまう。エクスパンダーやパジェロスポーツなど、個性的な車種を導入して、新しい需要を生み出すことも考えたい。

【画像ギャラリー】どんなフロントマスクに生まれ変わるのか期待大!! 現行型エクリプスクロスの詳細をチェック!!

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