燃費規制or環境対応型に二分? “次世代の本命”日欧PHVの長短と実力

BMW 330eなど「燃費規制型」の欧州PHV 特長は?

 燃費規制型はCAFE(企業平均燃費規制)から始まった。ヨーロッパでは2021年からメーカーで販売しているクルマ全ての平均燃費をJC08換算だとおおよそ20km/Lにしなければならない(燃費悪いと罰則金を払う)。

 当然ながら高性能車の存続は難しくなります。そこで考えたのがカタログ燃費だけ改善させるためのPHVだったりする。

BMW3シリーズ(WLTCモード:13km/L、市街地モード:10.2km/L、郊外モード:13.9km/L、高速道路モード:16.2km/L)
BMW3シリーズ(WLTCモード:13km/L、市街地モード:10.2km/L、郊外モード:13.9km/L、高速道路モード:16.2km/L)

 BMW3シリーズで見てみよう。標準的な2L/184馬力のエンジンを積む320iは16km/Lだ。同じボディに245馬力エンジンを搭載する328iだと当然ながら燃費が落ちて14,7km/L。これだとCAFE規制に遠く及ばない。

 そこで320iにモーターとバッテリーを組み合わせ、短い距離なら排気ガスを出さない電気自動車として走れるPHVを作る。

プラグイン・ハイブリッド・モデル BMW 330e M Sport(WLTCモード:13.1km/L、市街地モード:9.6km/L、郊外モード:13.2km/L、高速道路モード:15.4km/L)
プラグイン・ハイブリッド・モデル BMW 330e M Sport(WLTCモード:13.1km/L、市街地モード:9.6km/L、郊外モード:13.2km/L、高速道路モード:15.4km/L)

 しかも、絶対的な動力性能はエンジン+モーターになるから一石二鳥。3シリーズだと320iと同じ184馬力のエンジンにモーターを組み合わせ、システム出力252馬力とした。

 結果的に328iよりパワフルだから330eとなり、価格だって328i以上で問題なし! CAFEをクリアできて高性能になることを考えたら一石三鳥か。

 バッテリーの搭載量はカタログ燃費を向上させられるための最低量でOK。したがって黎明期におけるヨーロッパのPHVはバッテリー走行距離が20km少々と短い。

 また、バッテリーの電力を使い切ったら燃費もそれほど良くない。ポルシェもベンツも含め、ヨーロッパのPHVはおしなべて「高性能車を存続させるため」の対策です。

既存のPHVから一歩抜きんでたRAV4 PHV

2020年6月8日に発売開始されたトヨタ RAV4 PHVのバッテリー搭載量は、電気自動車に匹敵する。電気だけで、カタログ値95km走行可能(WLTCモード:22.2km/L)
2020年6月8日に発売開始されたトヨタ RAV4 PHVのバッテリー搭載量は、電気自動車に匹敵する。電気だけで、カタログ値95km走行可能(WLTCモード:22.2km/L)

 そんな状況のなか、突如出てきたのがRAV4 PHVである。バッテリー搭載量は電気自動車に匹敵するため、カタログの数値だと電気だけで95km走れる(実際は70kmくらい)。

 これだけ走れたら電気自動車として運用できるほど。なんたって毎日70km走ると年間2万4千km。ほとんどの人はガソリンスタンドに行く必要なし!

 それでいてアクセル全開すると速いの何の! エンジン+バッテリーのパワーを合計したシステム出力306馬力! 0~100km/h加速6秒なので、ガソリン車だと4L級エンジンに匹敵する。

エンジンとバッテリーを組み合わせたシステム出力306馬力、0~100km/h加速6秒という実力をもつ
エンジンとバッテリーを組み合わせたシステム出力306馬力、0~100km/h加速6秒という実力をもつ

 もはやポルシェなどスポーツSUVとガチで性能競争できるレベル。環境対応型のPHVかと思いきや、アクセル踏んだら凄い!

 驚くべきは価格で、エネルギーコストも含めれば普通の2Lガソリエンジンより総出費額で安価。

 唯一の課題は「最初に支払う価格」だけれど、それだって普通の2リッターより138万円高。4Lモデルがあるなら、そのくらい高いだろう。圧倒的に優れた動力性能を持つことを考えたらPHV分なんか無料サービスのようなもの。

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