国内の新車販売ランキングの上位には軽自動車と、トヨタ「ライズ」、ホンダ「フィット」、トヨタ「ヤリス」といった5ナンバー車が数多く並ぶ。トヨタ「新型カローラ」は3ナンバー車になったが、5ナンバーサイズの「カローラアクシオ&フィールダー」も継続生産され、カローラ全体の約15%を占める。
そして5ナンバー車の登録台数に、国内販売の40%近くを占める軽自動車を加えると、国内市場全体の約70%に達する。このように5ナンバー車が好調に売れる背景には複数の理由がある。
まず道路や駐車場などの交通インフラだ。大半が3ナンバー車の増え始める1990年以前に整備されたから、今でも5ナンバー車が走りやすい。
クルマの価格上昇も影響した。安全装備の充実などによって車両価格は高くなったが、平均所得は1990年代の中盤をピークに下がっている。最近は少し持ち直したが、25年前の水準には戻っていない。そのため、購入する車種のサイズが小さくなっている。
それに日本のユーザーに向けた商品であることが機能に表現されている。日本では使いやすく、このサイズじゃなきゃ困る人も多い5ナンバー車。
今回は軽自動車を除くお薦めの5ナンバー車を、自動車評論家の渡辺陽一郎氏がボディタイプ別にランキング形式で紹介していく。
※5ナンバーの基準:排気量2000cc以下、全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下。
※本稿は2020年9月のものです
文/渡辺陽一郎
写真/、編集部
ベストカー2020年10月26日号
【画像ギャラリー】日本のユーザーに向けた5ナンバーサイズ! ボディタイプ別にお薦めしたいモデル10選
■ラインナップが最も充実している『コンパクトハッチバック』
コンパクトハッチバックには5ナンバー車が多い。全長は4m前後で最小回転半径も5.1m程度だから、街中でも運転しやすい。全高は1550mm以下に抑えられ、多くの立体駐車場で利用できる。
2020年にトヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」が新型になり注目されている。ハイブリッドのe-POWERを搭載する日産「ノート」、ハイブリッド専用車のトヨタ「アクア」、マイルドハイブリッドが中心のスズキ「スイフト」、ディーゼルターボのマツダ「マツダ2」という具合に、メカニズムにも特徴がある。低価格のトヨタ「パッソ/ブーン」、日産「マーチ」、三菱「ミラージュ」も選べる。
これらのなかで、幅広いユーザーに適する推奨度の最も高い車種は「フィット」だ。全長は約4mと短いが、燃料タンクを前席の下に搭載して空間効率を高めた。後席の足元空間はミドルセダン並みに広い。後席は小さく畳めて、大容量の荷室に変更できる。広くてもトールワゴンではないから重心は低く、優れた安定性と実用性を両立させた。
フィットは斜め前側の視界に優れ、側方や後方も見やすい。運転のしやすさ、4名乗車時の居住性、積載性がすべて優れている。価格も割安だから、実用的で最も買い得な日本車といえるだろう。
2位は「ヤリス」だ。後席と荷室が狭く、ファミリーユースには適さない。サイドウィンドウ下端が後方で上がるデザインのため後方視界も悪いが、新開発されたプラットフォームによって走行安定性は良好だ。14インチタイヤ装着車を除けば乗り心地も満足できる。運転感覚が楽しく、1.5L NAエンジン車には6速MTも用意したから、クルマ好きにもピッタリだ。
3位は「スイフト」。全長が3.9mを下回るから後席と荷室が狭く、ファミリーカーには適さない。その代わりボディは軽く、車両重量が900kg以下のグレードも多い。RSも軽く、足回りは欧州仕様と同様の設定で5速MTも用意した。1.2Lノーマルエンジンの性能をフルに引き出す走りはとても楽しい。中高年齢層のクルマ好きが運転すると、若い頃を思い出して目頭が熱くなるかも!
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