仕事で出張した先や旅先など、普段あまり行かない場所でクルマを運転すると、「あれ、これってなんの標識・標示だっけ?」と不安に思うこと、ありませんか。
道路標識(本標識)だけで100種類以上と、かなり種類は多いですが、すべて把握しておかなければ恥ずかしいというもの。今回は、忘れがちな標識・標示と、間違えやすい標識について、取り上げていきます(完全に忘れている人は危ないのでぜひ勉強しなおしてください!)。
文:吉川賢一
写真:国土交通省、警察庁、Adobe Stock、写真AC(トビラ写真:Adobe Stock@和久 澤田)
【画像ギャラリー】忘れたり間違えやすい道路標識・標示板、路面標示をギャラリーチェック!!
「横断歩道又は自転車横断帯あり」
街中でよく見かける、このひし形の路面標示は、「横断歩道又は自転車横断帯あり」という路面標示です。信号のない横断歩道の手前に標示されています。
ダイヤマーク2つが縦にならんで道路に書かれていますが、1つ目のダイヤマークは横断歩道の「50m手前」に標示されており、2つ目は「30m手前」に標示されています。
先の見通しが悪い、カーブや上り坂の先に横断歩道があって、渡ろうとする人が待っていたりすると、「おっと!!」と、冷や汗をかくこともありますが(徐行しましょう)、この標示によって「横断者がいるかもしれない」と危険予知をすることができます。
「優先道路」
見方によっては、なんのこっちゃわからないようなこの標識は、信号のない交差点において、優先して通行ができる道路を示す「優先道路」の標識です。どちらが優先道路かは以下で判断します。
(1)交差点内に中央線か車両通行帯が描かれているほうが優先道路
(2)優先道路を示す道路標識が設置されているほうが優先道路
上記の(1)、(2)どちらの標示もない場合は、明らかに道幅が広いほうの道路が優先、また道幅が同じような場合は、左に見るクルマに優先権があります。
優先道路を走るクルマには徐行の義務はありませんが、まれに、優先道路の概念をガン無視して突っ込んでくるドライバーがいますので、注意が必要です。道路交通法36条4項において、交差点での注意義務が規定されています。
「最低速度」
数字の下にアンダーラインがあるこの標識は、「最低速度」を示す標識です。高速道路(正式には高速自動車国道)には、法定最低速度50km/hという規定がありますが、高速道路本線上の対面通行区間や、登坂車線、自動車専用道路や一般道には法定最低速度の規定はなく、この最低速度の標示のみが有効です。
おもに、「高速道路には分類されないものの、事実上、高速道路と同等な交通状況である道路」で、最低速度を指定するために設置されています。
「安全地帯」
この標識は主に、プラットホームのない路面電車の停留所や、鋭角交差点などに設けられているものです。路面電車の乗降客や、道路を横断する歩行者の安全確保のための「安全地帯」があることを示す標識です。この安全地帯には、車両は進入することができません。
また、安全地帯内に歩行者がいる場合には、車両はそのそばを通る際には徐行しなければならなく、安全地帯の左側とその前後10m以内は駐停車禁止となります。
あまり遭遇することのない標識ではありますが、ドライバーが守らなくてはならないことが多い標識なので、しっかりと覚えておきましょう。
「聴覚障害者標識」と「身体障害者標識」
こちらは初心運転者標識(初心者マーク/若葉マーク)や高齢運転者標識(高齢運転者マーク)と同じ類のもので、該当するドライバーが、自らのクルマに表示する標識です。
聴覚障害者標識のほうは、聴覚障害のあることを理由に、普通運転免許に条件を付けられている方が表示するものです。該当するドライバーは、表示しない場合、初心者マーク同様に、道路交通法違反となります。
身体障害者標識も、肢体不自由であることを理由に、普通運転免許に条件を付けられている人が表示するものですが、こちらは表示していなくても罰則はありません。
初心者マーク、高齢運転者マークも含め、これらの標識を表示したクルマを見かけたら、いつも以上に丁寧な運転を心がけましょう。
なお、これらのクルマに「幅寄せ」や「割込み」をすると、「初心運転者等保護義務違反」となり、著しく危険、とまではいかない行為であっても違反となります(ただし危険防止のためのやむを得ない場合を除く)。
「一方通行」と「常時左折可」
さいごに、間違えやすい標識を取り上げます。青地に白い矢印の「一方通行」の標識と、白地に青い矢印の「常時左折可」の標示板です。
「常時左折可」の標示板が設置された場所では、信号に関係なく左折することができます。一方通行の標識を、この「常時左折可」の標示だと勘違いして左折してしまうと、信号無視となりますし、逆に、「常時左折可」の標示を「一方通行」と勘違いしてしまえば、通行していいにもかかわらず、信号待ちをしてしまう、ということになってしまいます。
近年、この「常時左折可」の標示板は減っているようですが(左折車と歩行者・自転車との事故が多かった)、まだまだ設置されている箇所はありますので、見間違えないよう、注意しましょう。