輸入車に乗ると、誰もが一度は間違えるのが、ウインカーとワイパーの操作でしょう。筆者も度々やらかします。特に、メルセデス・ベンツのクルマは、右側のレバーがシフトノブになっているため、ウインカーを出そうとしてシフトを操作してしまい、冷や汗をかくことも。
ウインカーの位置は、日本で売られている日本車はJIS(日本産業規格)に準拠し、「右ハンドル・右ウインカー」を採用しています。
対して海外メーカーでは、ISO(国際標準化機構)の、「ハンドル位置に関わらず、ウインカーは左側」の規格に従っており、日本で売られている右ハンドル仕様の輸入車も、ほぼ左ウインカーとなっています。
左側通行の日本にあわせて、ハンドルの位置は右にしてくれているのに、ウインカーは右のまま。なぜこのようなことになっているのでしょうか。
文/吉川賢一、写真/Daimler、AdobeStock
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■世界的に左側通行は少数派な存在
現時点、左側通行を採用する国は、日本のほかに、香港、イギリス、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、ケニア、スリランカ、バングラディッシュ、パキスタンなど、およそ55か国ありますが、それでも世界の国に対しては、約4分の1程度と少数派。
世界の主流は右側通行であり、例えば、人口大国であるアメリカや中国、ロシア、ヨーロッパ各国(イギリスを除く)など、そのほとんどは右側通行です。
世界的に右側通行となった背景は諸説ありますが、有力と言われているのが、当時大国であったフランスの影響です。
フランス地域でつかわれていた馬車では、馬を操る人が左側に乗っていたため、右側通行となってようですが、これが、ナポレオンの征服した地域や、陸地続きの多くの欧州大陸諸国、そしてその後植民地となった国にも影響していった、ということのようです。
右側通行であれば、対向車とすれ違うときの距離感がつかみやすいよう、左側に運転手をレイアウトし、右側へはギアチェンジをするためのシフトノブを配置、空いている左手では方向指示器を操作、こうしたバランスのよいコックピットのパッケージングは、人が操縦する工業製品として、理に適っています。
世界の大半の国で右側通行が採用され、右側通行であれば左ウインカーが適切。国際標準であるISOは、こうして決められたと考えられます。
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