天晴れ!? 常勝軍団トヨタを打ち負かした名車たち

 日本自動車販売協会連合会が発表している新車販売ランキングを見ると、2020年12月は第1位のヤリスをはじめ、2位ライズ、3位ルーミーそして6位のカローラまでトヨタ車が上位を独占。実にベスト10にトヨタ車が8モデルもランクイン。

 ベスト20まで調べてみても、トヨタ車が13モデルもランクインしているのだ。

 さらに2020年1~12月の年間ランキングでもヤリス、ライズ、カローラでベスト3を独占し、ベスト10に7モデル、ベスト20にコンパクトカーをはじめ、ミニバン、SUVと多彩なボディタイプが13モデルもランクインしている。

 こうもトヨタ車に圧倒されると、おもしろくないと感じる人も多いはず。そこで、他メーカーに頑張ってほしいという意味合いも込めて、過去にさかのぼり、トヨタ車を打ち負かしたクルマを探してみた。

文/萩原文博
写真/トヨタ 日産 ホンダ スバル マツダ

【画像ギャラリー】熾烈な争いを繰り広げ、見事トヨタに打ち勝ったライバル車たち


ワゴン文化を切り拓いた/3代目スバルレガシィツーリングワゴン(1998年6月~2003年5月)

3代目レガシィツーリングワゴンGT-B(1998年)。5速MTと4速ATを設定。MTは280psだが、ATは260ps

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■打ち負かしたトヨタ車/2代目カルディナ(1997年9月~2002年9月)

レガシィツーリングワゴンに対抗すべく送り込まれたカルディナ。写真は2代目のカルディナGT-T(1997年登場)で、セリカに搭載されていた3S-GTE型2Lターボエンジンを搭載

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 現在のトヨタはかつて銀河系軍団と呼ばれたレアル・マドリッドに匹敵するトヨタは“常勝軍団”に相応しいタレント揃いだ。

 しかし、そんなトヨタでも、そのカテゴリーの王者になれず撤退まで追いやられた過去もあるのだ。そこで、今回は“常勝軍団トヨタ”を打ち負かした名車たちの現在を追った。

 まず紹介するのは、スバルレガシィツーリングワゴンだ。1989年に登場したレガシィツーリングワゴンは、それまでのライトバンから日本市場にステーションワゴンを根付かせたモデルだ。

 特にEJ20型2Lターボエンジンを搭載したGT系は実用性の高いステーションワゴンながら、スポーツカーのような走行性能を実現したモデルとして大人気となった。

 1993年に登場した2代目で2Lターボエンジンの最高出力は280psに到達。5ナンバーサイズ最後のレガシィとなった1998年登場の3代目は「レガシィを極める」をコンセプトに開発され、3L水平対向6気筒エンジン搭載車やポルシェデザインのエアロパーツを装着したBLITZENが設定されるなど、5ナンバーサイズ時代の完成型となった。


■打ち負かしたトヨタ車/3代目カルディナ(2002年9月~2007年5月)

260ps/33.0kgmを発生する3S-GTE型2L、直4ターボを搭載

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 この3代目レガシィに真っ向勝負を挑んだのが、トヨタカルディナだ。1997年に登場した2代目モデルにはレガシィGTに対抗して、セリカGT-FOURに搭載されていた3S-GT型の2L、直4ターボエンジンを搭載した4WDモデルのGT-Tを設定した。

 しかし、レガシィの牙城を崩すことはできなかった。そして2002年フルモデルチェンジを行い、3ナンバーサイズへとボディサイズを拡大し、トップモデルにGT-FOURと呼ばれる4WDターボ車を設定した。

 しかし、2003年に世代交代を行ったレガシィに圧倒され、2007年に生産終了となり、カルディナは幕を閉じてしまった。

 現在1998年~2003年まで販売された3代目レガシィツーリングワゴンの中古車の流通台数は約107台で、平均価格は約43.8万円。

 中古車の価格帯は約15万~約300万円で、チューニングカーを除けば、ほとんどが100万円以下となっている。2Lターボエンジンを搭載したGT系が中心だが、わずかだがBLITZENも流通している。

 歴代レガシィツーリングワゴンの中古車の平均価格を見てみると、2003年に登場した4代目が約36.8万円と最も安く、次いで3代目が約43.8万円。これより古くなると値上がり傾向となり、エポックメイキングな初代の平均価格は約183万円と高値となっているのが特徴だ。

Lクラス高級ミニバンの先駆車/初代日産エルグランド(1997年5月~2002年4月)

初代日産エルグランド(1997年5月~2002年4月)。新ジャンルのミニバンにもかかわらず大ヒット。デビュー年は4万5179台もの台数を販売

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■打ち負かしたトヨタ車:グランビア(1995年8月~2002年4月)、グランドハイエース(1994年8月~2002年4月)

トヨタグランビア(1995年8月~2002年4月)

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 2020年の年間新車販売台数で5位となったアルファード。兄弟車のヴェルファイアとともに、Lサイズミニバン市場を独占している。しかし、かつてこのLサイズミニバンもトヨタが苦戦を強いられていたカテゴリーだ。

 1995年にトヨタの最高級1BOXとして登場したのがグランビア。3ナンバー専用となったボディのフロントにエンジンを搭載したFRミニバンで、現在のアルファード/ヴェルファイアのルーツといえるクルマだ。

 このグランビアにライバルだったのが、日本市場にLサイズミニバンブームを巻き起こした日産キャラバン/ホーミーエルグランドだ。

 1997年に登場したキャラバン/ホーミーエルグランドは、1BOX車キャラバン/ホーミーをベースとしたFRミニバン。

 当時人気だったシボレーアストロを彷彿させる大きなフロントグリルとスクエアで大きなボディで大ヒットした。

 なかでもオーテックジャパンが手がけたカスタムカーの「ライダー」は、メッキパーツを使用したビレッドグリルを採用し、さらに迫力を倍増。現在の押し出しのあるオラオラ顔の礎となったのは間違いない。

 搭載するエンジンは当初、3.3L、V6ガソリンと3.2L、直4ディーゼルだったが、1999年にディーゼルが3L直4直噴ターボ、そして2000年にガソリンが3.5L、V6へとパワーアップした。

 キャラバン/ホーミーエルグランドのヒットに合わせて、グランビアも1999年のマイナーチェンジで大きなフロントグリルを採用したフロントマスクへと変更されたが、エルグランドには叶わなかった。

 しかし、2002年にエルグランド、グランビア揃ってフルモデルチェンジを行い、グランビアはアルファードへと進化。エスティマベースとなったため駆動方式もFFへと変更。

 搭載するエンジンはエルグランドが3.5L、V6のみだったのに対して、アルファードは3L、V6と2.4L、直4を搭載。2.4L車の低価格戦略が見事にハマリ、アルファードがエルグランドの販売台数を逆転し、現在に至っている。

 初代エルグランド(キャラバン/ホーミーエルグランド含む)の中古車は現在約56台流通していて、価格帯は約1万~約199万円と幅広くなっている。平均価格は約42万円だ。人気のカスタムカー、ライダーも約7台流通しており、当時の人気の高さをうかがえる。

ミニバンブームをけん引した不動の名車/初代ホンダオデッセイ(1994年10月~1999年12月)

初代ホンダオデッセイ(1994年10月~1999年12月)

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■打ち負かしたトヨタ車:イプサム(1996年5月~2001年5月)

初代トヨタイプサム(1996年5月~2001年5月)

 Lサイズミニバンのエルグランド同様にトヨタはミニバンで苦戦を強いられることがあった。それはホンダオデッセイだ。1994年にアコードのプラットフォームを採用した3列シートミニバンとして初代オデッセイが登場。

 当時1B0X系のミニバンが主流だった時代に、ステーションワゴンライクのスタイリングを採用し、乗用車並の走行性能を実現したオデッセイは画期的で、新時代のファミリーカーとして大ヒットした。

 デビュー当初は2.2L、直4エンジンのみだったが、1997年のマイナーチェンジで、2.3Lへ排気量アップ。そしてプレステージと呼ばれる3LV6エンジン搭載モデルを追加し、ラグジュアリー路線へと拡大した。

 トヨタはオデッセイの大ヒットを受けて、1996年に初代イプサムを販売開始。3ナンバーサイズのオデッセイに対して、イプサムは取扱しやすい5ナンバーサイズそしてエンジンの排気量も2L直4ガソリン、2.2L直4ディーゼルと税金面でも有利に思えたが、オデッセイの後塵を拝した。

 そして2001年フルモデルチェンジを行い、2代目へと進化したイプサムは3ナンバーボディとなり、搭載されるエンジンも2.4L、直4ガソリンと、オデッセイとがっぷり四つのライバルとなった。

ライバルのオデッセイも1999年に2代目へと進化しており、2002年にはスポーティモデルのアブソルートを設定するなど現在のエアロ系モデルのルーツを築いていた。このようなオデッセイの多様化するニーズに応える戦略に対抗できずイプサムは2010年に生産終了となった。

■打ち負かしたトヨタ車:マークX ZIO(2007年9月~2013年12月)

マークX ZIO(2007年9月~2013年12月)

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 このイプサムに代わって、オデッセイのライバル車として2007年に登場したのがマークX ZIOだ。当時オデッセイは3代目へと世代交代し、新開発の低床プラットフォームを採用し、都市部に多い立体駐車場に対応する優れたパッケージングを採用していた。

 マークX ZIOはアッパーミドルセダンのマークXと言う名前に相応しい洗練された高級感と優れた走行性能を両立し、使用シーンに応じて自由にアレンジすることのできる室内空間を備えた、新しいコンセプトのクルマだ。

 オデッセイを強く意識したことはボディサイズにも表れており、2WD車は全長4695×全幅1785×全高1550mmと立体駐車場に対応していた。

 搭載するエンジンを2.4L、直4に加えて、3.5L、V6も用意していたが、マークXという名前ながら、駆動方式がFFというコンセプトが浸透せず、わずか1世代で生産終了。このマークX ZIOを最後にリアがヒンジ式のミニバンはラインアップから姿を消した。

 かつての栄光を築いたモデルの中古車を見てみると、初代は現在、約9台流通していて、平均価格は約33万円。中古車の価格耐は約18万~約80万円となっていて、後期型の2.3L車が中心だ。

 1999年に登場した2代目オデッセイの中古車は現在約16台流通していて、平均価格は約28万円と歴代オデッセイで最も安くなっている。価格帯は約5万~約79万円で、グレードはアブソルートが中心で、3L車も流通している。

 そして、2003年に登場した3代目オデッセイの中古車の流通台数は約441台と非常に豊富。平均価格も約29.4万円と底値といえる状況だ。

 価格帯は約5万~約138万円で、アブソルートやMエアロといったエアロパーツを装着したモデルが中心となっている。

四角いスタイルでベストセラーSUVに/初代日産エクストレイル(2000年11月~2007年8月)

初代日産エクストレイル(2000年11月~2007年8月)

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■打ち負かしたトヨタ車:2代目RAV4(2000年5月~2005年11月)

2代目トヨタRAV4(2000年5月~2005年11月)

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 乗用車のプラットフォームを流用し、SUVのパイオニアとして1994年に登場したトヨタRAV4。

 初代モデルは街乗りSUVという新しい市場を開拓し大ヒットしたが、2000年に登場した2代目以降は販売が伸び悩み、2016年には日本市場からいったんRAV4は姿を消すことになる。

 このRAV4に立ちはだかったのが、2000年に登場した日産エクストレイルだ。初代モデルは若者でも手の届く、タフギアをコンセプトにまだSUVが高価だった時代に200万円で手に入る4WD車として登場。

 ツール感を強調したシンプルなインテリアやオールモード4×4と呼ばれる4WDを採用し、高い悪路走破性を実現した。搭載するエンジンは、2L、直4自然吸気と2L、直4ターボの2種類でグローバルの販売台数が80万台という大ヒットモデルとなった。

 2007年まで販売された初代エクストレイルだが、現在でも中古車の流通台数は約224台と非常に豊富。平均価格は約39万円で、中古車の価格帯は約7万〜約120万円となっている。

 80万円を超える中古車はリフトアップなどのカスタムを施したクルマが中心で、ノーマル車は70万円以下となる。自然吸気エンジン車が中心だが、ターボエンジン搭載車も約11台流通している。

ロードスターに勝てるクルマはこの世に存在しない!?/2代目マツダロードスター(1998年1月~2005年8月)

2代目マツダロードスター(1998年1月~2005年8月)

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■打ち負かしたトヨタ車:MR-S(1999年10月~2007年7月)

トヨタMR-S(1999年10月~2007年7月)

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 そして、最後に紹介するのはトヨタMR-Sで、そのライバルはマツダロードスターだ。MR-SはミッドシップスポーツカーMR2の後継車として1999年に登場。ハイパワースポーツカーだったMR2からライトウェイトスポーツへと路線変更した。

 MTだけでなく、2ペダルMTのシーケンシャルトランスミッションを搭載するなど意欲作だったが、2シーターオープンカーの販売台数ギネス記録を持つマツダロードスターの前に完敗。2002年に生産終了となった。

 MR-Sと同時期に販売されたのは1998年に登場した2代目ロードスター。初代のリトラクタブルヘッドライトは廃止されたが、ソフトトップのリアウィンドウがガラスとなるなど利便性が向上している。

 エンジンは当初1.8L、直4のみだったが、1.6L、直4を追加。モデル末期にはターボエンジンを搭載したモデルも設定されていた。現在、2代目ロードスターの中古車の流通台数は約254台で、平均価格は約66.6万円と歴代ロードスターの中で最も安くなっている。

 また価格帯は約15万〜約298万円と非常に幅広い。高価格車の多くは限定車として発売されたターボ車で、やはりその希少性から価格が高値安定傾向だ。とはいえ、50万円以下の低価格車も多く流通しているので、FR入門車として最適なモデルだ。

 現在は常勝軍団となっているトヨタだが、かつてはカテゴリーによってはトップの座をとれないだけでなく、撤退していたこともあった。

 しかし、現在でもトヨタを上回る人気を誇っているのはレガシィツーリングワゴンの後継車であるレヴォーグとロードスターだけとなっている。そう考えるとトヨタのマーケット戦略と販売力はもの凄い底力をもっていることがわかる。

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