■芸術の国フランスが電気自動車を作るとこうなる!?
まったくの偶然だが、フランス車が続くことをお許し願いたい。電気自動車のDS3クロスバックE-TENSEも、国産SUVにない魅力をもっている。電気自動車なんかに興味はないという素振りを見せていた(ように私個人には見えた)フランス人も、実はちゃっかり開発していたのだ。
それもそのはずで、今後日本よりも燃費規制が厳しくなっていくEUのメーカーの場合、電気自動車をはじめとする電動車をもっていないと売るクルマがなくなってしまうのだから。
グループPSAの新世代プラットフォームであるCMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)を用いて開発されたモデルで、50kWhのリチウムイオンバッテリーを積む。
日産リーフには40kWhと62kWh版があるが、DS3はその中間の容量を載せてきた。一充電で走行可能な距離はカタログ上は320km(WLTCモード)。実質的にはその8掛けと考えて250km前後だろう。
パワーは十分あるが、発進時のトルク感は電気自動車のなかでは穏やかなほうだ。62kWh版をもってこられたらリーフのほうが速い。といっても同じような価格帯の内燃機関車よりはいかなる場面でもずっと力強いから問題なし。
上級のグランドシックが534万円、ベーシックなソーシックが499万円。418.99万円のリーフG40kWh版や499.84万円の同62kWh版と迷う価格設定だ。ただし内外装の華やかさ、仕立てのよさがリーフと決定的に異なる。はっきり言ってDS3の圧勝だ。
例えば内装に大真面目にアール・デコ調のデザインを取り入れている。センターコンソールのATセレクターの両脇にあるパワーウインドウのスイッチは、高級腕時計の文字盤などで見かけるクルドパリ(細かい菱模様の凹凸をつけることで、光の反射で見づらくなるのを防ぐ手法)のようなデザインだ。
同じようなスイッチが並んでいて、覚えるまでははっきり言って使いにくい。でもカッコいい。
ファブリックとナッパレザーを組み合わせた内装の質感が高く、同価格帯のクルマのなかではダントツの高級感がある。ジャージでコンビニまで乗るのがはばかられるくらいオシャレ。リーフは量産電気自動車のパイオニアだけあって優れた性能をもつが、色気がない。
これまで輸入電気自動車はおいそれとは手が出ない1000万円級のモデルしかなかったが、400万〜500万円の“買える”電気自動車の選択肢が登場したのは喜ばしい。
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