■ルノーはEVビジネスについて30年近く前からアヴァンギャルドな構想を練っていた!
その話の原点をたどれば、ルノーは1990年代半ばにEV導入に際してはエンジン車と異なる販売方法があるとの考えを示してきた。
当時は、まだリチウムイオンバッテリーが実用化されておらず、トヨタがプリウスで採用したニッケル水素バッテリーもまだなく、鉛酸バッテリーか、ニッケルカドミウム(略してニッカド)バッテリーを使うしかなかった。それらのバッテリーでは走行距離が短く、バッテリーの交換時期も早く訪れる可能性があり、それならば、バッテリーは借りると考えていいのではないかという着想だった。
ルノーは、鉛酸バッテリーでは走行距離が限られるとしても、EVを実用化するため、チューリップ計画という構想を発表してもいる。
これは、パーク・アンド・ライドとカーシェアリングをあわせたサービスの提供であり、鉄道の駅周辺にカーシェアリングのEVを配置し、駅から自宅の往復にEVを利用する。さらに、通勤や帰宅時間帯以外の日中は、鉄道を利用して駅に訪れた人のための移動の足としてEVをカーシェアリングする。
EVの利用や、鉄道の運賃は、ICカードを使い、1枚のカードで簡単に決済できるとした。その当時、まだ日本でスイカが発売される前のことであり、アヴァンギャルド(前衛的)な側面を持つフランス人らしい斬新な発想であった。そもそも、ドイツでカール・ベンツがガソリンエンジン自動車を発明したが、ダイムラーからエンジンを買って自動車に仕立て、それを富裕層に売って商売にしたのはフランス人だった。
ルノーと日産は、1990年代の日産の再建という目的で提携を結んだが、その後のEV導入に至っては、逆に両社は提携するべくして結びついた自動車メーカーではなかったかとさえ思える関連性を覚えさせる。
米国フォードが2030年から欧州向け車種をEVにすると表明し、ゼネラル・モーターズ(GM)は2035年からの全車をEVとし、ジャガーは2025年のEVブランド化するなど、欧米におけるEVへの動きが急となっている。
それらに対抗するうえでも、ルノー・日産・アライアンスが培ってきたEVでの実績が、いかに本領を発揮できるか。その一例として、カングーのEVとe-NV200の次期型との関係性は、商用EVの地図を見るうえでも興味深い要素となっていくのではないだろうか。
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