■自動車メーカーごとに異なるコネクテッド
それでは現在の国産メーカーのコネクテッドカー事情はどうなっているのだろうか?
●トヨタ:T-Connect
トヨタのコネクテッド技術の歴史は非常に古い。
そのルーツは1997年に誕生した画像検索システムである「GAZOO」だが、これはあくまでも販売店に設置した端末であり、その後は携帯電話と専用カーナビ(メーカーオプション)を組み合わせた「MONET(モネ)」、その後は「G-BOOKシリーズ」と続き、2014年7月に「T-Connect(ティーコネクト)」がスタートし現在に至っている。
T-Connectが従来のG-BOOKと大きく異なるのは取得したデータをトヨタスマートセンターというクラウドサービスに送信し、それを分析し状況に応じて車両側にフィードバックできる点にある。
通信に関してはG-BOOK時代から使われているDCMと呼ばれる通信モジュールを活用するが、G-BOOK時代は車種によって標準、またはメーカーオプションだったのに対し、T-ConnectではまずDCMありきで標準装備化されている。
これにT-Connect対応ナビの装着、または単体契約を行い、常時接続することでコネクテッドカーとして使うことができる。
受けられるサービスも従来からある緊急通報システムである「ヘルプネット」にプラスして事故状況によりドクターヘリの手配を行うサービス。車両盗難を含めた離れた場所に停めたクルマの異常を伝える「マイカーSecurity」は遠隔でエンジンの再始動やステアリングロックの解除も禁止させることができる。
特に盗難の多いランドクルーザーにはリモートイモビライザー機能も専用に搭載する。またスマホとの連携も従来以上に強化しており、専用アプリである「My TOYOTA」を使えば、車両の駐車位置やドアロックの確認、炎天下の日など乗車前にエアコンを外から作動させることもできる。
基本となる「T-Connectスタンダード」と「T-Connectエントリー」に関しては初年度登録日から60ヵ月点検(車検)月の末日までが無料だが、その後は有償となる。
これらの機能に関しては車種ごと対応、非対応があり、一部有償のものもあるので、その部分は事前に確認が必要だ。
●日産:Nissan Connect
日産もテレマティクスサービスの歴史は古く、1997年には「コンパスリンク」、その後2002年には「カーウイングス」をリリースした。
そして2017年には現在の「Nissan Connect」を開始しており、従来から継続される「オペレーターサービス」やプローブ情報を活用した「最速ルート案内」のほか、NTTドコモとパイオニアとの協業により車内でのWi-Fiを使い放題とした「docomo in Car Connect」にも対応している。
またシステム上のソフトウエアのアップデートや地図自動更新などもテスラのようにOTA(Over The Air)技術を活用することで自動更新される。
スカイラインの場合はADAS領域において、高速道路走行時のハンズオフを実現する「プロパイロット2.0」を搭載した車両の場合、3D高精度地図データが必要となる。その場合はOTAも含めて年間1万6000円の利用料金がかかる。
また人気の新型ノートにメーカーオプションの対応ナビを装着した場合は「スタンダートプラン+(プラス)」として年間7920円がかかる。これは前述したコネクトサービスにプラスしてSOSコールを付帯したもの。7920円÷12カ月で計算すれば月額は660円、この金額で安心と安全、さらに利便性も手に入るのだからまずまずリーズナブルと言える。
●ホンダ:Honda CONNECT
ホンダといえば1998年から開始した「インターナビ」、これに独自の交通情報の取得を可能にした「インターナビ・プレミアムクラブ」が有名だ。
特に同サービスは早い時期から自車を一種のセンサーと見立て、走行情報をサーバーにアップさせる「プローブカー」として活用する「フローティングカーシステム」を世界で初めて採用した。これによる渋滞回避能力の高さは当時としては画期的だった。
現在は2020年にフルモデルチェンジを行った新型フィットから「Honda CONNECT」としてサービスを刷新。専用通信モジュールからサーバーにアップされたビッグデータを分析し従来以上のサービスを確立している。
サービスに関しても初回申し込みから12カ月間は基本パックが無料、その後は月額550円となる。さらに追加オプションとしてスマホをクルマのカギとして使える「Hondaデジタルキー」や警備会社のALSOKと提携した駆けつけサービスも別途各月額330円で用意する。
●マツダ:MAZDA CONNECT
マツダコネクトはオーナーの間でも「マツコネ」の愛称で呼ばれている2013年11月に発売された3代目アクセラから搭載されたインフォテインメントシステムのこと。
通信モジュールは搭載せず、手持ちの携帯電話などを活用することでハンズフリー通話やSNS、さらに提携するインターネットラジオの聴取も可能にしている。
ただ他社に比べると通信の活用という点ではコネクテッド面がやや弱かった。そこで2019年のMAZDA3からいわゆる第2世代にスイッチ。通信モジュールの搭載によりSOSコールや車両のコンディションモニター、また純正ナビの地図更新にも対応する。
第2世代はトヨタとのアライアンスによる部分もあり、サービス自体も似ているが、独自機能を搭載することで今後も進化が期待できる。
利用料金は3年間無料で4年目以降は料金等は確定していないが、MAZDA3、CX-30、MX-30に続き、マイナーチェンジを行ったCX-5/CX-8にも搭載され利便性を高めている。
●三菱、SUBARU、ダイハツ
前4社に比べるとまだこれからに期待なのがこの3社のコネクテッドだ。
三菱は北米ではセーフガードシステムと呼ばれる24時間365日のSOSコールなどや「MY MITSUBISHI CONNECT」というスマホアプリを活用したサービスを展開しているが、国内ではまだ未搭載だ。
エクリプスクロスやアウトランダーの各PHEVにはスマホと連携して、タイマー充電やプレ空調などが行える「三菱リモートコントロール」を設定しているが、そもそも両車には車載通信機が搭載されていない。この場合、Bluetooth接続で届く距離のみになるので、コネクテッドとはまだ呼べるレベルには達していない。
ただ、三菱の場合は日産、ルノーとの三社連合により今後はマイクロソフトの「Microsoft Azure」による共同開発を行う予定だ。少し時間はかかるかもしれないが、これが構築できれば一気に最前線に躍り出る可能性もある。
SUBARUに関しても北米では「SUBARU STARLINK」をコアにスマートフォンとの連携でセーフティやセキュリティサービスを展開している。日本国内では新型レヴォーグに「STARLINK」を組み込んだインフォテインメントシステムを展開しているが、専用の通信モジュールは非設定になる(つまりスマホを使う)。
利用料金も年間5500円だが、新車購入時に初年度登録から5年間サービスを無料で使える。
ダイハツに関しては「ダイハツコネクト」というサービスを展開、基本利用料は0円というのが嬉しいが、対応する専用カーナビまたはディスプレイオーディオ、そして通信のためのスマホ(専用アプリ)はもちろん必要となる。
緊急時の事故や故障などの対応サポートやディーラーからのお知らせなども受け取れるのでコスパは高い。
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