夜間の眩しい対向車のライトは夜用サングラスで解決!


レンズメーカーには夜間ドライビング用の専用レンズもある

カールツァイスのDuraVision® DriveSafe コーティングは、450nm前後の波長の青色の高エネルギー可視光線部分だけを反射する。それにより ZEISSのDuraVision® DriveSafe コーティングは他の高級反射防止コーティングに比べ、ぎらつきによる不快感を最大で64%低減
カールツァイスの夜間運転用機能レンズ「DriveSafe Lens」を説明してくれたカールツァイスビジョンジャパンの三輪氏

 いわゆるセット価格のリーズナブルな眼鏡を販売しているチェーン店でも、夜間のドライビング向けにコーティングを施したメガネをオーダーすることが可能だ。そのオプション価格は大体5000円で、これにより夜間の運転がより安全で疲れにくくなる、というのであれば十分に選択する価値はあるだろう。

 さらに高機能なレンズをレンズメーカーは開発し、商品化している。「防眩レンズ」と呼ばれる種類の日本のレンズメーカーでも用意しているが、今回はレンズメーカーの老舗、カールツァイスが開発した夜間にも最適なドライビング専用レンズ、DriveSafe Lensに注目してみた。

 カールツァイスといえば泣く子も黙るレンズメーカーとして、カメラや双眼鏡などでは圧倒的なステイタスを誇るブランド。

 しかしカールツァイスビジョンジャパンの三輪さんによれば、カールツァイスの業績は、半導体製造装置に用いるレンズ、工業用レンズ、手術用顕微鏡などの医療用、そしてカメラや双眼鏡、眼鏡レンズの4部門でほぼ均等な売り上げを誇るほど、眼鏡レンズの需要も高いのだとか。

 さらに三輪さんは「LEDライトが強く放つ430nm前後の短波長の光はエネルギーが強く、瞳の中で乱反射しやすいのです。そのため、LED特有の波長をブロックすることが、夜間運転時に眼を守り安全性を高めることにつながります。

 さらにDriveSafe Lensは雨の日や夕暮れ時、夜間などの暗い環境にて瞳孔が大きくなった状態をレンズ設計に活かしており、距離感がつかみやすくなっています」。

 そんなカールツァイスがDriveSafe Lensをリリースしたのは、今から5年ほど前。ブルーライトカットだけではカバーできないLEDやHIDの光源が放つ短波長の光を効果的にカットして不快グレア(乱反射して眩しさを感じる光)を抑えてくれるコーティングらしい。

HEV(高エネルギー可視光)と呼ばれる430nm前後の波長をブロックする効果を測定してみると標準の眼鏡用レンズと比べてDriveSafe Lensは13%程度、さらに10%ブラウン系のカラーで染めたレンズでは約20%カットしてくれることが分かった

 DriveSafe Lensは特定の波長をブロックする効果は高いものの、それでも最大20%程度だ。それが実際の視界にどれだけ影響するかは試してみるまでは分からなかった。

 しかし装着して走行してみるとすぐに効果が体感できた。眩しくなくなった、というよりも視界がクッキリとしたのだ。

 明るさは、他のイエローレンズのように暗いところがより暗くなる印象はなく、視界はクリアなままだ。度入りの眼鏡を掛けているわけではないのに、視力矯正したような印象。ウインドウガラスをキレイに拭き上げた直後のような爽快感がある。

 眩しさを軽減する効果はイエローレンズほどではないのだろうが、これはコントラストを向上させてくれる効果もあるようで、都市部の夜間走行が快適になった印象がある。まるでワイパーを新品に交換した時のようだ。

 おそらく日本のレンズメーカーよりも価格は高いのだろうが、単焦点ならDriveSafe Lensは3万5000円程度から選ぶことができるらしい。

 ブルーライトカットレンズや、イエローライトカットレンズを使用していて、満足できていないようであれば、思い切ってこうした高機能な夜間ドライビング専用のレンズを利用することも検討してみるといい。

 遠近両用の累進レンズ、また紫外線によって色が濃くなる調光レンズにもできるため、昼夜兼用のドライビング用とすることも可能だが、最近はウインドウガラスにUVカット機能を採用しているクルマも多い。

 さらに遠近両用の眼鏡でも視界の内容が違うため、三輪氏は仕事用とドライビング用、さらに夜間のドライビング用といったように眼鏡を使い分けることを勧めてくれた。

自動車メーカーにこの先改善を望みたいこと

 自車のヘッドライトは明るいほうが安全だし、より広い範囲を照らしてくれた方が、危険に早く気付く可能性は高い。しかし、同時にそれは周囲に強い光をまき散らすことになり、他のドライバーを幻惑する危険性も高いことは、ドライバーとして知っておくべきだろう。

 自動車メーカーは、基本的にドライバーの安全を優先しているが、それでも最近はAHLによって対向車のドライバーを幻惑から守ろうという意思は感じられる。しかし前述の通り、その効力はまだ限定的だ。

 例えばフロントウインドウに偏光フィルターを組み込むなど、眩しさを低減する工夫が必要なのではないだろうか。

 単に偏光フィルターを組み込んでしまうと、偏光レンズのサングラスと干渉して見えにくくなってしまうから、そのあたりも含めて夜間の視界をどう確保するかガラスメーカー、中間膜を供給するフィルムメーカーなどと研究開発してほしいものだ。

 ヘッドアップディスプレイが普及して、ドライバーの視界をより有効に活用するようになってきた現在、より視界をクリアにして安全性を高める工夫は、自動運転技術を進めることと同じくらい重要なことなのだから。

【画像ギャラリー】カールツァイスのドライビング用レンズ その威力を知る!!