クリップオンタイプのイエローレンズ
続いて試したのは、クリップオンタイプのイエローレンズだ。こちらも偏光フィルターを採用しており、イエローの着色でブルーライトをカットするだけでなく、偏光フィルターで一定方向の光以外をある程度ブロックしてくれる。
実は今回、某ECサイトで購入するにあたり、安いサングラスは偏光フィルターが本当に入っているか怪しかったのでその真偽の意味もあって購入したのだが、イエローレンズの偏光フィルターは効果が弱めながら、偏光フィルターの存在を確認できた。
照度計による計測ではこちらも65%程度の透過率で、濃いイエローのカラーによりブルーライト系の光を吸収しているようだ。日頃眼鏡を利用している人には、手軽に装着して夜間の眩しさを軽減できるのは、有り難いのではないだろうか。
価格は800円ほどと、1000円以下で安いがペラペラのプラスチック製なので、耐久性はあまり高くなさそう。長く使うことを考えたらクリップオンでも、もっとしっかりしたレンズの商品を使うことをお勧めしたいところだ。
比較対象として通常のスポーツ用サングラスで交換用レンズにあるイエローレンズも試してみることにした。最も鮮やかなイエローのカラーだが、計測してみると光量の透過率はやはり35%程度。そして夜間走行に使用してみても、眩しさの低減には一定の効果があり、短時間の使用ではそれほど差がない印象だ。
レンズメーカーには夜間ドライビング用の専用レンズもある
いわゆるセット価格のリーズナブルな眼鏡を販売しているチェーン店でも、夜間のドライビング向けにコーティングを施したメガネをオーダーすることが可能だ。そのオプション価格は大体5000円で、これにより夜間の運転がより安全で疲れにくくなる、というのであれば十分に選択する価値はあるだろう。
さらに高機能なレンズをレンズメーカーは開発し、商品化している。「防眩レンズ」と呼ばれる種類の日本のレンズメーカーでも用意しているが、今回はレンズメーカーの老舗、カールツァイスが開発した夜間にも最適なドライビング専用レンズ、DriveSafe Lensに注目してみた。
カールツァイスといえば泣く子も黙るレンズメーカーとして、カメラや双眼鏡などでは圧倒的なステイタスを誇るブランド。
しかしカールツァイスビジョンジャパンの三輪さんによれば、カールツァイスの業績は、半導体製造装置に用いるレンズ、工業用レンズ、手術用顕微鏡などの医療用、そしてカメラや双眼鏡、眼鏡レンズの4部門でほぼ均等な売り上げを誇るほど、眼鏡レンズの需要も高いのだとか。
さらに三輪さんは「LEDライトが強く放つ430nm前後の短波長の光はエネルギーが強く、瞳の中で乱反射しやすいのです。そのため、LED特有の波長をブロックすることが、夜間運転時に眼を守り安全性を高めることにつながります。
さらにDriveSafe Lensは雨の日や夕暮れ時、夜間などの暗い環境にて瞳孔が大きくなった状態をレンズ設計に活かしており、距離感がつかみやすくなっています」。
そんなカールツァイスがDriveSafe Lensをリリースしたのは、今から5年ほど前。ブルーライトカットだけではカバーできないLEDやHIDの光源が放つ短波長の光を効果的にカットして不快グレア(乱反射して眩しさを感じる光)を抑えてくれるコーティングらしい。
DriveSafe Lensは特定の波長をブロックする効果は高いものの、それでも最大20%程度だ。それが実際の視界にどれだけ影響するかは試してみるまでは分からなかった。
しかし装着して走行してみるとすぐに効果が体感できた。眩しくなくなった、というよりも視界がクッキリとしたのだ。
明るさは、他のイエローレンズのように暗いところがより暗くなる印象はなく、視界はクリアなままだ。度入りの眼鏡を掛けているわけではないのに、視力矯正したような印象。ウインドウガラスをキレイに拭き上げた直後のような爽快感がある。
眩しさを軽減する効果はイエローレンズほどではないのだろうが、これはコントラストを向上させてくれる効果もあるようで、都市部の夜間走行が快適になった印象がある。まるでワイパーを新品に交換した時のようだ。
おそらく日本のレンズメーカーよりも価格は高いのだろうが、単焦点ならDriveSafe Lensは3万5000円程度から選ぶことができるらしい。
ブルーライトカットレンズや、イエローライトカットレンズを使用していて、満足できていないようであれば、思い切ってこうした高機能な夜間ドライビング専用のレンズを利用することも検討してみるといい。
遠近両用の累進レンズ、また紫外線によって色が濃くなる調光レンズにもできるため、昼夜兼用のドライビング用とすることも可能だが、最近はウインドウガラスにUVカット機能を採用しているクルマも多い。
さらに遠近両用の眼鏡でも視界の内容が違うため、三輪氏は仕事用とドライビング用、さらに夜間のドライビング用といったように眼鏡を使い分けることを勧めてくれた。
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