■テスラに対抗できるのは日産アリアだけ?
つまりテスラモデル3が国産の電気自動車と比べて特に優れているのは、動力性能と、1回の充電で走行可能な距離に集約される。
動力性能で互角に競えるのは、2021年中に日産から発売されるアリアだろう。現時点で公表されているデータ通りなら、65kWh仕様の2WDは217ps/30.6kgm、最もハイパワーな90kWhのリチウムイオン電池を搭載する4WD仕様は、394ps/61.2kgmに達する。
停車状態から時速100kmに達するまでの所要時間は5.1秒とされるから、テスラモデル3ロングレンジの4.4秒にはおよばないが、スタンダードプラスの5.6秒よりは速い。
注目の航続距離は65kWh仕様の2WDが450km、4WDが430km。90kWh仕様は2WDが610km、4WDが580km。いかがだろうか、やっと日本の自動車メーカーが気づいてくれたのだ、航続距離の長さが購入の重要なポイントになっていることを!(ただし発売前のデータなので市販型では変更の可能性あり)
こうなるとアリアでは価格も注目される。90kWh/4WD仕様をどれだけテスラモデル3ロングレンジの499万円に近づけられるのか……。
その意味でテスラの値下げは、アリアを買うユーザーから見てもメリットになるかもしれない。テスラは自動車メーカーの歴史は浅いが、生産台数は2015年が5万台、2017年には10万台、2019年は36万台、2020年は50万台と急増している。
改めてまとめてみると、日本車メーカーがテスラを見習うべきものは、一充電あたりの航続距離が400km~500km以上あること、そのうえで価格が500万円以下ということ。そしてEVらしい発進からの鋭い加速が味わえることだろう。
つまり、航続距離の長さ、EVらしい発進加速の鋭さ、そして500万円以下という値付けである。
テスラモデル3の値下げは、アリアや今後登場するさまざまな電気自動車の価格にも影響を与えるだろう。近々、トヨタからはアイゴX(プロローグ。市販型の車名はアイゴクロスか?)、レクサスLF-30、さらにトヨタとスバルが共同開発したEVのSUVが登場する。
仮にテスラが動力性能、1回の充電で走行可能な距離、価格設定で他社を寄せ付けない優位性を保つとすれば、ほかの電気自動車には、テスラとは違う魅力が求められる。テスラの値下げによって電気自動車が刺激を受け、競争も活発になりそうだ。各車の商品力向上に期待したい。
コメント
コメントの使い方