自動運転技術は【日本の危機】を救えるか【自律自動運転の未来 第6回】

■自動運転技術は「確実に停まるブレーキ」ではない

 衝突被害軽減ブレーキでは、最終的なシステムによるブレーキ制御の前段階に必ず危険を知らせる警報とディスプレイ表示がなされることが法規に織り込まれています。よって、その警報の意味を周知すると共に、システムから危険が知らされたら、ドライバー自身がブレーキ操作やステアリング操作で回避動作をとることが求められます。

 しかし、残念ながら正しい理解が進みません。

 筆者は以前、とある公安委員会からの委託を受け、指定自動車教習所で働かれている指導員の方々に向けた法定講習の講師を拝命したことがありました。

 ここでは、先進安全技術と自動運転技術の普及と課題について講義を行なったのですが、多くの指導員の方々から先進安全技術の教習を行なう必要性をご意見としていただきました。

 また、教習所に通われる生徒さんの多くが、衝突被害軽減ブレーキさえ備わっていればどんな状況でも確実に自動で止まってくれると思い違いをされている、そんな意見も伺いました。

 先進安全技術や自動運転技術の目的は、「事故を減らし、誰もが快適な移動の自由を得ること」です。日本が抱えるの高齢化対策、事故の削減、そして移動手段の確保に対し、二つの技術はこの先も多いに役立ちます。

 自動運転技術は日本の危機を救う、大きな可能性を秘めています。技術革新が進み、同時に社会的受容性が高まってくれば、自らがステアリングを握り運転そのものを楽しむ世界との共存も見えてくるのではないか……、これが筆者の意見です。

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