ボルボがEVの『C40』を発表した。日本にも導入されるようだが、ボルボはEVシリーズに採用する純正タイヤに、オールシーズンタイヤを装着することを併せて発表している。
これまでの純正タイヤというと、オンロードでの性能(グリップ、省燃費)を優先した、コンフォートタイヤの採用が主だった。しかし、ボルボは急な雪でも走行可能なオールシーズンタイヤを採用するとのことだ。
SUVが人気の昨今とあって、サマータイヤではなく、さまざまな路面に対応できるオールシーズンタイヤを採用するメーカーが出てくるのでは? とも考えられる。ボルボがなぜ採用に踏み切ったのか? などそのワケを考察していきたい。
文/斎藤聡
写真/Goodyear、VOLVO
【画像ギャラリー】ボルボ「C40」とグッドイヤーの新コンセプトタイヤ
■「リチャージコンセプト」グッドイヤーから発表された驚きのタイヤ技術
ボルボは、すべての電気自動車にリチャージタイヤ(=オールシーズンタイヤ)を標準装備していくと発表しました。
いきなり話が横道にそれてしまいますが、ちょっとびっくりしたのは、ちょうどボルボのリリース発表とほぼ同じタイミングで、グッドイヤーから「リチャージコンセプト」というコンセプトタイヤが発表されていたからなんです。
このタイヤ、充填可能なカプセルを使うことで自己再生可能という夢のようなタイヤなんです。しかも、カプセルの充填する材料によってサマータイヤやウインタータイヤの性能を作り出すことができるというもの。来るべき電動モビリティの自動運転に有望なタイヤというものなんです。
「リチャージ」「EV」「グッドイヤー」という言葉の符合と、通年を通して装着するという性能の一致もあって、まさか早くも簡易型のリチャージコンセプトがボルボに搭載されるのか? と慌ててしまったわけです。
実際にはまったく関係なかったわけですが、今のオールシーズンタイヤや人気の火付け役となったのがグッドイヤーですから、あながち見当違いということでもなかったりするのです。
■ボルボの「リチャージタイヤ」とは、新開発のオールシーズンタイヤのこと
ともあれ、ボルボのリチャージタイヤは新開発のオールシーズンタイヤのことです。
ボルボによると、「完全な世界では朝起きてその日の天候によって自分のクルマに適したタイヤを装着する、ということになるのでしょうが、これはあまりにも無理なので、ボルボでは一年中お客様の安全を守るためのベストバランスな選択肢としてリチャージタイヤを提供しています」といっています。
冬の寒さが厳しく氷雪上を走ることが多い地域では従来のスタッドレスタイヤやスパイタイヤがもっとも安全な選択肢であることは変わりませんが、それでもリチャージタイヤは選択肢のひとつとして使えるのだといっています。
これは、現在発売されているオールシーズンタイヤをイメージすると少し違和感を感じるかもしれませんが、次世代のオールシーズンタイヤをイメージすると、案外あっさり受け入れられるかもしれません。
国内ではオールシーズンタイヤの競争が激化したのは2019年から2020年にかけてでした。この時発売になったオールシーズンタイヤは、すでに発売されてから2~3年が経っていました。ほとんどの商品がすでに欧州で売られていたのです。
つまり、そろそろモデルチェンジサイクルに入って新型が登場する時期に当たるわけです。ボルボの自信に満ちたリリースの文言からすると、雪上性能が1ランク以上高くなっていることが予想されます。
実際に国内で発売されているオールシーズンタイヤのユーザー評価を見ても、ドライ性能での不満はそれほど目立たず、氷雪性能に物足りなさ(不満ではないが)を感じているコメントを多く目にします。
熾烈な性能競争の渦中にあるメーカーが、新型オールシーズンタイヤを作ろうとしたら、当然氷雪性能の強化は必須になると思います。夏も走れるウインタータイヤ的な性能が実現できれば、通研を通して装着する純正タイヤへの採用は十分考えられることです。
コメント
コメントの使い方