ボルボがEVにリチャージタイヤを標準装備! 他メーカーのこの流れに乗るのか!?

■ボルボの「リチャージタイヤ」とは、新開発のオールシーズンタイヤのこと

 ともあれ、ボルボのリチャージタイヤは新開発のオールシーズンタイヤのことです。

 ボルボによると、「完全な世界では朝起きてその日の天候によって自分のクルマに適したタイヤを装着する、ということになるのでしょうが、これはあまりにも無理なので、ボルボでは一年中お客様の安全を守るためのベストバランスな選択肢としてリチャージタイヤを提供しています」といっています。

ボルボが発表したEV『C40』にも、リチャージタイヤイヤが装着される模様だ。スタイルからしても、オンロードに振っているので、リチャージタイヤ装着メリットが大きいだろう
ボルボが発表したEV『C40』にも、リチャージタイヤイヤが装着される模様だ。スタイルからしても、オンロードに振っているので、リチャージタイヤ装着メリットが大きいだろう

 冬の寒さが厳しく氷雪上を走ることが多い地域では従来のスタッドレスタイヤやスパイタイヤがもっとも安全な選択肢であることは変わりませんが、それでもリチャージタイヤは選択肢のひとつとして使えるのだといっています。

 これは、現在発売されているオールシーズンタイヤをイメージすると少し違和感を感じるかもしれませんが、次世代のオールシーズンタイヤをイメージすると、案外あっさり受け入れられるかもしれません。

 国内ではオールシーズンタイヤの競争が激化したのは2019年から2020年にかけてでした。この時発売になったオールシーズンタイヤは、すでに発売されてから2~3年が経っていました。ほとんどの商品がすでに欧州で売られていたのです。

 つまり、そろそろモデルチェンジサイクルに入って新型が登場する時期に当たるわけです。ボルボの自信に満ちたリリースの文言からすると、雪上性能が1ランク以上高くなっていることが予想されます。

 実際に国内で発売されているオールシーズンタイヤのユーザー評価を見ても、ドライ性能での不満はそれほど目立たず、氷雪性能に物足りなさ(不満ではないが)を感じているコメントを多く目にします。

 熾烈な性能競争の渦中にあるメーカーが、新型オールシーズンタイヤを作ろうとしたら、当然氷雪性能の強化は必須になると思います。夏も走れるウインタータイヤ的な性能が実現できれば、通研を通して装着する純正タイヤへの採用は十分考えられることです。

日本のオールシーズンタイヤの火付け役、グッドイヤー「ベクター・フォーシーズン」。現状は発達途上の技術だが、ボルボの自信から、次世代仕様はよりオールマイティな性能を獲得しそうだ
日本のオールシーズンタイヤの火付け役、グッドイヤー「ベクター・フォーシーズン」。現状は発達途上の技術だが、ボルボの自信から、次世代仕様はよりオールマイティな性能を獲得しそうだ

■リチャージタイヤの進化は、EVやSUV用タイヤ市場を一変させるのか!?

 さらにボルボは、気温が0℃前後で乾燥していたり湿っていたりするような状況では、オールシーズンタイヤより従来の夏用タイヤや冬用タイヤを使用するほうが安全性が低いといっています。

 サマータイヤは0℃付近になるとゴムが硬化して本来のグリップ性能を発揮しないので、ウエット路面では大幅に制動距離が延びてしまうことがあります。

 またウインタータイヤはスタッドレスタイヤほどではないにしてもサイプでブロック剛性を低くしているので、ウエット路面での急制動は苦手で、急ブレーキでオールシーズンタイヤよりも制動距離が延びてしまうケースは十分に考えられます。

 もうひとつボルボがリチャージタイヤを採用する大きな理由になっているのが、転がり抵抗の少なさを実現したことです。

 ボルボではAクラスのエネルギー効率を実現しているといっていますが、これは欧州タイヤラベリングの転がり抵抗A、日本式にいうとAAAを実現しているということです。Cクラス(日本式式ではA)のエネルギー効率を持ったEU/ ノルディックフリクションタイヤと比べエネルギー消費量を8%低減するのだそうです。その結果、電気自動車の航続距離を延ばすことができるわけです。

EVは床下に重量物であるバッテリーを敷き詰めている。その重量を支えるタイヤが1年を通じて使用でき、エコ性能も向上するのであれば、鬼に金棒である
EVは床下に重量物であるバッテリーを敷き詰めている。その重量を支えるタイヤが1年を通じて使用でき、エコ性能も向上するのであれば、鬼に金棒である

 電気自動車は低速域のトルクが大きいため、ゴーストップの多い街中でのタイヤの摩耗はかなり厳しいと考えられますが、このあたりも対処できているということなのでしょう。

 といったボルボのリチャージタイヤ標準装備化のリリースや、現状のオールシーズンタイヤ、近い将来のオールシーズンタイヤの進化を考え合わせると、SUVのオールシーズンタイヤ標準装備化はほかのメーカーにも波及する要素を十分に備えていると思います。EVだけでなく、現在発売されているライトSUVやFFモデルのSUVはリチャージタイヤを装着するメリットがあると思います。

重量のかさむEVにとってリチャージタイヤを標準装着するメリットは大きい。EVも普通のクルマに変化しつつある昨今、以前はEVのアイコンであった充電リッドも今や普通のデザインだ
重量のかさむEVにとってリチャージタイヤを標準装着するメリットは大きい。EVも普通のクルマに変化しつつある昨今、以前はEVのアイコンであった充電リッドも今や普通のデザインだ

 ただ完全に乗るか、となるとこれ難しいのではないかと思います。リチャージタイヤを装着することのメリットは十分ありますが、その一方でEVとSUVの親和性はとても高いのです。極低速域ので巨大なトルクを発揮するSUVは、バッテリーによる重量増はあるものの、低重心と低速駆動トルクの強さ、複数モーター駆動による駆動トルク配分の自由度など、オフロードモデル、ラフロードモデルとしての高い ポテンシャルを持っているからです。

 EVになってエンジンによる個性が少なくなった中で、いかにキャラクターを際立たせるかを考えると、従来とおりサマータイヤ+ウインタータイヤという選択肢もありだろうと思います。

 さらに。リチャージタイヤから見えてきた次世代のオールシーズンタイヤは、(氷)雪性能の向上、転がり抵抗の低減がかなり期待できるそうです。現行のオールシーズンタイヤから氷雪性能がもう少しよくするだけで、オールシーズンタイヤはさらに魅力的になると思うからです。

【画像ギャラリー】ボルボ「C40」とグッドイヤーの新コンセプトタイヤ

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