新型コロナウイルス感染症の拡大で大きな影響を受けた2020年だが、新車の販売は果たしてどうだったのか。
2021年1月初頭、緊急事態宣言が発令される直前は、ディーラーの集客も良好だっという話もある。
そこで2020年の新車販売の動向を分析した!
文/小林敦志
写真/ベストカー編集部、TOYOTA、DAIHATSU、Adobe Stock(メイン写真=88studio@Adobe Stock)
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■コロナの新車販売への影響は意外と薄い?
新型コロナウイルス感染拡大に、まさに国中が翻弄された2020年。宿泊業や貸切バス会社、飲食店など観光関連業種だけでなく、航空会社や鉄道会社なども海外からの外国人観光客が入国制限でほぼいなくなり、日本人ですら緊急事態宣言発出などで国内旅行もままならず、かなりのダメージをいまもなお受けている。
一方で、新車販売は2020年春に全国的に緊急事態宣言が発出された4月と5月に大きく販売台数を落としたものの、5月下旬に緊急事態宣言が段階的に解除されると急速な回復を見せ、2020年9月以降は“小売り”に関しては“絶好調”ともいっていい状況が、いまもなお続いている。
このまま2021年も好調を維持できるのかと思っていると、自販連(日本自動車販売協会連合会)及び全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計によると、2021年1月の新車販売台数(軽自動車も含む)は38万4430台(前年比106.8%)という結果となった。
2021年2月単月での新車販売台数(含軽)では、43万2296台(前年比100.5%)となり、年明けも好調を維持している。ただ、2月は登録車だけでは前年比100%を気持ちだけ割っている(97.8%)。
小型車が前年比86.1%と前年割れが目立っているのだが、世界的な半導体不足の影響も一部出ているとされているが、納期遅延が顕著な車種が増え、2月どころか2020事業年度中(2020年3月末日まで)の納車もほぼ間に合わないという車種が多かったことが影響しているようである。
ただ、新車販売の事情に明るいひとのなかからは、「例えば2021年1月だが、前年となる2020年1月は、2019年10月に行われた消費税率引き上げの影響による販売不振傾向をひきずっているので当たり前だ」との声も聞かれる。
考え方を変えれば、「今回の新型コロナウイルス感染拡大は、消費税率引き上げより新車販売に与えるインパクトは薄い」とも、統計結果から判断することができる。
また、現状で新車販売の足を引っ張るのは、法人などへのフリート販売の減少が大きい。外出自粛も要請され利用者の少ないタクシー会社では、新車への入れ替えを遅らす動きが目立っている。
また2021年2月では前年比59.6%と大きく販売台数を落とすバスでは、観光業が大打撃を受けており、観光バスの新車販売はほぼ止まっているとの話も聞いている。レンタカーやカーシェアリングなども打撃を受けており、新車への入れ替えが鈍っているとも聞いている。
これらフリート販売の落ち込みがいまの新車販売台数の足を引っ張っているともいわれている。つまり、小売りだけ見れば極めて調子がいいのである。
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