実はエンジンでも脱炭素が可能!? EV化だけではないシナリオとは

そもそも全部EVは無理な話!?

 何でもかんでも蓄電池に集約すればいい、という暴論も聞こえるが、火力発電や原発をどうするか、という電源構成を考えなくても、全車をEVにすることは不可能だ。

 リチウムは限りある資源であり、世界中のクルマをEVに置き換えるほど埋蔵量はない。ましてや企業や家庭用に蓄電池まで普及させるなどというのは、妄想でしかない。

 しかも環境への配慮を考えれば、どんどん採掘してじゃんじゃん使えばいい、ということにはならない。同じことは太陽電池にも言えて、半導体の原料にも使われるシリコンをどんどん採掘すれば、枯渇問題や環境破壊につながるからだ。

 将来的にリチウムを使わない高性能電池が開発されれば、また話は変わってくるかもしれないが、現在実用化目前の全個体電池にしてもリチウムイオンを利用する仕組みなので、まだ当分リチウム偏重の傾向は変わらないだろう。

2014年に世界初量産型燃料電池自動車として誕生し、2020年にフルモデルチェンジした新型MIRAI
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 だからトヨタが推す水素燃料電池のポテンシャルが光るのだ。バッテリーではなく、電気を水素にして貯蔵すれば、リチウムの枯渇問題もクリアできる。それでも水素を生成して供給するオンサイト型の水素ステーションを、あちこちに作るのはコスト面で現実的じゃない。

 いっぽう大型トラック用に高速道路上に水素ステーションを増やして、FCトラックを走らせるのは、比較的早い段階で実用化できそうだ。

 とはいえ乗用車をEVとFCVだけにするのは、比重の軽い気体である水素を利用している以上、無理がある。液体燃料のもつエネルギー密度は、やっぱりクルマにとって魅力的な条件なのだ。

 結局のところ、燃料電池も含め、エネルギーの多様性を考えなければ、カーボンニュートラルを国レベル、地球レベルで達成することはできないのである。

 エンジンのなかでもディーゼルエンジンやガスタービンエンジンは、比較的燃料への対応が幅広い。だからバイオ燃料が一般化したら、バイオディーゼルやガスタービンのシリーズハイブリッド車なんていうのが、登場するんじゃないだろうか。

 とにかくモーターと電気だけでクルマを全数走らせられない以上、エンジンは生き残るのである、必然的に。

【画像ギャラリー】トヨタ燃料電池車 初代MIRAI&新型MIRAI 厳選写真31枚

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