名語録1/GMとの提携のなかで生まれたスズキはメダカじゃなくて蚊
「ゼネラル・モーターズが鯨で、うちがメダカ? いやうちはメダカじゃなくて蚊ですよ。だってメダカは鯨にのみ込まれてしまうが、蚊であれば空高く舞い上がることができるので飲み込まれない」
GMと提携した1980年代、スズキは弱小メーカーだった。が、鈴木修さんは「ぺしゃんこに潰されるのは嫌だから『この野郎』という気持ちで挑戦し続けてきた」と述べている。
不屈の精神で臨み、頑張ったから瞬く間にGMから信頼を勝ち取り、頼りになるパートナーとして認められた。小さな会社だったから巨大なライバルと対等に戦うのは難しかったが、これだけは絶対よそに負けない、特長のある会社にしたい、と鈴木修さんは常に考えていたのである。
この努力が身を結び、今では世界中の大きな自動車メーカーが、空高く舞い上がったスズキの高い技術力や次の一手に注目するようになった。
また、鈴木修さんは「スズキのクルマづくりがここまで進化できたのは、GMという『いい師匠』に恵まれて、技術者を育ててもらった」とGMに対する礼と恩も忘れていない。
名語録2/100年に一度の変革期を予見した名言
「かつては10年ひと昔といったが、今は1年ひと昔。10年先のことを考えるなんて昔で言えば100年先を考えるようなもの。会社のあるべき姿を描くと現実から大きくかい離する。最小限、何を今なすべきかを考えていくことだ」
自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えている。「電動化」や「自動化」に加え、「コネクテッド化」の波も押し寄せてきた。鈴木修さんは、遠くないうちに100年に一度の大変革の時代が来ることを予見し、この名言を吐いたのだろう。
また、「前年の常識が今年は違う。今やっていることが全部間違っているという前提で見ることだ」とも述べている。
名語録3、4/昭和の古き良き時代が懐かしい名言
「土曜休んで日曜も休む奴は要らない。今の日本の悪い所はアメリカ的時間の切り売りが横行している事だ。8時間働けばそれでいいなど通用しない、成果で報酬がでるんだ」
昭和のカリスマ経営者らしい名言だ。21世紀の今は、うるさいほど労働時間が決められ、残業も制約されている。
やみくもに労働を強いることはできないが、昭和の時代に育った筆者には、このスパルタ精神の主張が理解できる。経営陣から現場の労働者まで、理屈抜きで一丸となって頑張ったから「世界のスズキ」へと上りつめたのだ。
同じような名言としては、
「人間の能力の差は、体力・気力・努力次第で簡単に逆転する。要はやる気次第だ。やる気を出せばなんでもできる」
というのがある。
名語録5、6/鈴木修氏の独創性がよく表れている
「メーカーというものは工場にカネが落ちているところだ。設計がいいモノを考えて、生産現場がいいモノをつくれば、そんなもん、売れますよ。管理なんて必要ない」
「メーカーは現場がどうモノを作るかが勝負で、システムだとか管理だとかは後からついていけばいい」
鈴木修さんは、人と同じことをやるのが大嫌いだった。だから他社とは違う発想で新車を開発したし、今までにない独創的なクルマを生み出そうとしたのである。
やるなら、世界初、世界一を目指すのがスズキだった。この発想から生まれたのが初代アルトであり、背の高いワゴンRだ。ソリオやハスラーも、このスズキイズムから生まれた傑作である。
今までにないクルマだから、企画を通し開発するには勇気がいった。が、「人生には、チャンスを掴むか逸するか分かれ道がいっぱいある」と考えている鈴木修さんは、開発にゴーサインを出したのだろう。
コメント
コメントの使い方