名語録7、8/スズキの不屈のチャレンジ精神が端的に表れている
「チャレンジするときは目標を高く」
「ビリだからチャレンジできた」
この2つの名言は、スズキの不屈のチャレンジ精神を端的に表現した名言だ。制約の多い中で、最高の作品を生み出す心意気を述べている。
また、ビリなら下に落ちないから、今やっていることを、全部ひっくり返すことも難しくない。肩の力を抜き、柔軟な姿勢でクルマづくりに取り組むことができる。
名語録9/右肩上がりのスズキを戒める名言
「30年間右肩上がりで社内に安泰ムードを招いてしまった」
スズキは、昭和の時代から平成の時代にかけて、生産と販売を伸ばし続けてきた。世界的な自動車メーカーに成長したが、鈴木修さんは「スズキは中小企業だ」という考えを持ち続けている。
規模は大きくなっても会社の中身は中小企業のままで、まだ他のメーカーに見劣りする、と油断しないように、勝って兜の緒を締めよ、というところが鈴木修さんらしい。
名語録10/スズキのコスト意識がこの言葉に表れている
「他のせいにせず、足元から節約を考えろ。一円刻みでものは考えなければならない。一円ですよ、勝負は」
鈴木修さんはコスト意識が驚くほど高かった。だからスズキの本社の隣に工場があるし、本社も大都市ではなく静岡県浜松市高塚町にある。創業以来、本社と工場は浜松から移転することは、今後もないだろう。
目の行き届くところに工場を置き、社員の技術レベルとコスト意識を高めようと努めた。1円、1グラムにまでこだわり、原価を下げることに並々ならぬ意欲を燃やしている。
しかも今はコスト低減に努めながら商品そのものも驚くほど完成度が高い。これは鈴木修さんが細かいことにも目を光らせていたからだ。
名語録11/安くするため軽くする=燃費もよくなる、これがスズキのクルマ作りの原点
「安くするために軽くするという考え方は、スズキのクルマ作りの原点です。車体が1割軽くなると、コストも1割安くなる。そして、車体が軽くなった分、燃費もよくなる。これはいまでも生きています」
スズキのクルマを見て驚かされるのは、軽量化技術がライバルとケタ違いにすごいことである。
最近はどのメーカーも軽量化に力を入れているが、スズキのクルマは高い安全性を確保しながら驚異的に軽いこと。これは簡単そうに見えて難しい。鈴木修さんが口を酸っぱくして言い続けているからだろう。
軽自動車も登録車も驚くほど軽量設計だ。基本が軽ければ、安全装備などを加えても走りはいいし、燃費だってよくなる。
名語録12/雪だるまは最初の雪玉が肝心だという家訓といえる名言
「子供の頃、雪だるまを作るとき、最初の根になる雪玉を母にしっかりとつくってもらったことがあります。その雪玉を転がして雪だるまをつくるのですが、雪玉がダメだと上手にできません。
逆に雪玉がちゃんとしていれば、雪だるまが解けても、根となる雪玉は解けずに残っている。創業者の偉大さはここにある気がします。2代目、3代目、4代目は、休まずコツコツと雪玉を転がしていけば、企業は発展していくものです」
これはスズキが今後も生き残っていくための家訓と言えるものだろう。何百年と永らえ、今も名声を放ち続けている老舗の後継者は、これと同じことを聞かされて育ったはず。
創業者の偉大さと苦労を忘れてしまうと、会社は長続きしない。これは昔も今も変わらない経営の鉄則だろう。含蓄がある。
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鈴木修さんは2021年2月24日のオンラインによる引退会見の最後、「私は仕事が生きがいだった。みなさんも仕事を続けてください。ありがとう。バイバイ」と手を振った。いかにも鈴木修さんらしい最後の一言であった。
鈴木修さんの名語録集、私なりに心に残るものを抜粋して選んでみましたが、みなさまいかがでしたでしょうか?
発表会などでお会いする時はいつもニコニコ人懐っこい表情で、我々ジャーナリストにも気さくで、鋭い分析能力でハッキリものをいう“修語録”に感心しておりました。 1978年以来、42年にわたる陣頭指揮でスズキを3兆円企業に育てた鈴木修さん。御歳91歳、今後はゆっくり過ごされていただきたいと思います。本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。
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