若者も5人に1人はドライブ好き 若者の車離れではなく「お金の若者離れ」だ

クルマは「経済的負担が大きい」

 一方、「クルマを購入するつもりがない」と答えた新成人に聞いた、「車を持ちたいと思わない理由」としては、車両価格や維持費の高さといった経済的負担を半数以上が挙げている。また、事故などのトラブルを回避したい、そもそもクルマは必要ない、という意見も次いで多かった。

 「クルマを所有する経済的な余裕がない」という問いに対しても、61.9%が「肯定」しており、新成人の半数以上は「お金」の心配をしているようだ。

車両価格や維持費の高さといった、経済的負担を半数以上が挙げている
車両価格や維持費の高さといった、経済的負担を半数以上が挙げている

 また、「クルマ離れを自覚しているか」については、肯定回答が37.8%、否定回答が30.9%、「何ともいえない」が31.1%であり、自覚している層が一定数はいることが分かった。

 その昔は、生活を切り詰めてでも給料の大半を費やし、クルマを改造して峠道を走りまわったり、ドレスアップに精を出してコンテストに応募したり、どこまででも遠くへとドライブに出かけたりと、カーライフに並々ならぬ投資をしていた若者も多かったが、いまはそうした若者が少なくなってしまっている。

 いまのクルマは以前よりも、電子制御が多く、わかりやすく「クルマいじり」を楽しむことが難しくなっている、ということも、背景にはあるかもしれない。

「クルマの価格が高くなり過ぎた」ことが原因

 しかし、若者のクルマ所有率が減っている直接的な要因は、他にある。現代のクルマは、昔よりも「手の届きにくい存在」になっているのだ。大卒初任給は、30年かけて4万円ほど増えた。だが車両価格は、初任給の増加よりも高い比率で上昇しており、たとえば代表的な大衆車「トヨタカローラ」の場合だと、この30年で、118万円から193.6万円へ、約1.6倍も価格が跳ね上がっている。

大卒初任給は、30年かけて4万円ほど増えただけだが、クルマは、トヨタカローラの場合だと、この30年で118万円から193.6万円へと、約1.6倍も価格が跳ね上がっている
大卒初任給は、30年かけて4万円ほど増えただけだが、クルマは、トヨタカローラの場合だと、この30年で118万円から193.6万円へと、約1.6倍も価格が跳ね上がっている

 消費税の影響(3%が初導入されたのは1993年4月、5%化は1997年4月、8%は2014年4月、10%(標準税率)は2019年10月)もあるが、衝突安全性能を高める装備の標準化や、ナビゲーションなどの情報装置、さらには運転支援技術など、安心・安全なクルマへと進化した結果、昔よりも高価な存在となってしまった。

 そのうえ現代は、他にもいろいろな娯楽がある。価値観の変化や、都市部への人口集中など、いろいろな複合要素も合わさって、若い世代にとってクルマは「欲しいけど、高いし、無理して買わなくてもいいかな」くらいの存在となってしまったのではないだろうか。

衝突安全性能を高める装備の標準化や、ナビゲーションなどの情報装置、さらには運転支援技術など、安心・安全なクルマへと進化した結果、昔よりも高価な存在となってしまった(PHOTO/写真AC_ぺるみけ)
衝突安全性能を高める装備の標準化や、ナビゲーションなどの情報装置、さらには運転支援技術など、安心・安全なクルマへと進化した結果、昔よりも高価な存在となってしまった(PHOTO/写真AC_ぺるみけ)

 その証拠に、前述の調査において、トヨタが展開している「KINTO」のような自動車のサブスクリプションに関しては、50%もの肯定回答が得られている。「初期費用を抑えられるから」というのが理由の1位であり、若い世代も「負担が少なく済むなら欲しい」と思っていることがわかる。

 契約内容によっては、車両定期点検などのメンテナンス代も含んだ契約とすることで、月々の支払いに浮き沈みがなくなり、安定感が得られる。2台クルマを所有している筆者も、1台はリースだ。月額料金には車検費用も含まれるので、突如、「ドカン」と支払いがやってくることもない(車検費用を毎月積み立てているようなものだが)。

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