ホンダが心配だ!! 軽自動車やコンパクトしか売れてなくて大丈夫か?

■次期型シビックとEVが命運を握るのではないか?

2020年11月17日に11代目となる「シビック」のプロトタイプ(4ドアセダンのみ)が北米で発表された。北米市場をメインにするのか、日本ではどのような扱いとなるのか気になるところ
2020年11月17日に11代目となる「シビック」のプロトタイプ(4ドアセダンのみ)が北米で発表された。北米市場をメインにするのか、日本ではどのような扱いとなるのか気になるところ

 カギを握るのは、シビックと電気自動車(EV)ではないかと私は考えている。

 ホンダは先ごろ、媒体向けにシビック取材会を開催した。ツインリンクもてぎにあるコレクションホールで、歴代シビックの現車を見ながら時代を振り返った。また、南コースと呼ばれるショートサーキットで、現行シビックのタイプRリミテッドエディションの体験走行が実施された。

 消費者にとってベーシック(基本)となるシビックは、1972年の初代以来10世代を重ね今日に至るが、8代目以降はフィットにベーシックの価値を譲り、3ナンバー化した。

 9代目は国内に導入されなかった。現行の10代目も、遅れての日本導入となる。日本市場にとってシビックという価値が曖昧になった15年の歳月である。

 しかし今回、あえてシビック勉強会をホンダが開催したことにより、11代目の次期型が導入される時、日本市場におけるシビックの価値が改めて明確にされることへの期待がある。

 すでにフィットは、日本市場に最適なコンパクトカーとして価値が与えられ、それをグローバルコンパクトへ成長されるとして開発・導入された。新型シビックも、日本市場にとって意味ある価値を持って登場してほしい。

モーターをリアに搭載し、後輪を駆動するRRとすることで、最小回転半径は4.3mを実現したホンダe。次世代のシティコミューターとしての先駆けとなるか
モーターをリアに搭載し、後輪を駆動するRRとすることで、最小回転半径は4.3mを実現したホンダe。次世代のシティコミューターとしての先駆けとなるか

 EVは、ホンダeで昨年登場した。初年の国内販売はわずか1000台と少量だが、EVを市販したことで、EVを販売する意味をホンダは学んだはずだ。

 世界では、EVメーカーへの動きが急となっている。英国のジャガー、米国のゼネラルモーターズ(GM)、そしてスウェーデンのボルボがEVメーカーになることを宣言した。そこでホンダも、日本のメーカーとしてEVメーカーを宣言することを私は期待する。その理由は、ふたつある。

 主力の米国市場でGMがすでにEVメーカーを宣言したこと。

 ふたつ目は、ホンダは、二輪・四輪・汎用による事業展開をしていることにより、EVを単に移動体としてとらえるだけでなく、暮らしの一部としての価値を意味づける素養を持つからだ。

■ホンダの独自性があれば次世代の移動と暮らしを創造できる

電力需要が少ない時間帯に充電することで電力需要を平準化し、再生可能エネルギー由来の電力使用拡大に貢献する、EV向けエネルギーマネジメントサービスをホンダeのオーナー向けに、英国で提供開始
電力需要が少ない時間帯に充電することで電力需要を平準化し、再生可能エネルギー由来の電力使用拡大に貢献する、EV向けエネルギーマネジメントサービスをホンダeのオーナー向けに、英国で提供開始

 かつて、ホンダは太陽光発電を自ら開発し、また自律型の移動体であるUNI‐CUBを開発し、それらを暮らしに取り込む実証実験を行っている。

 1990年代にいくつかの形態のクルマを群れとし、クリエイティブムーバーと呼んだように、クルマや二輪車などを暮らしの一部と位置づけ、またEVであることによる自律型の電力管理を汎用事業として取り組めば、現実的かつ未来的な生活の自立を促す、デイリーライフクリエーターとなりえる。

 二輪事業では、先ごろバッテリー交換の共同利用を他の二輪メーカーと結んだ。

 逆説的ではあるが、世界最大のエンジンメーカーであるからこそ、あえてホンダがEVに的を絞ることで、独自性を活かせる次世代の移動と暮らしを創造できるのだ。

 すぐには理解しにくいかもしれない。しかし、スマートフォンを生活の中心に置く世代であれば、10年後のホンダがそうした暮らしを創造する企業を目指すとしたら、期待は大きく膨らむのではないか。それこそ、今日のブランディングである。そこを、次の三部敏宏社長に期待する。

 そして私は、ホンダは大丈夫と思うのである。

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