■燃費も車内装備もビジネスにやさしい
プロボックスの特徴とされるハイブリッドでは、DX(185万3500円)の価格を1.5LノーマルエンジンのDXに比べて、27万5000円の上乗せに抑えた。ヤリスでは、1.5Lノーマルエンジンと1.5Lハイブリッドの価格差が約37万円だから、プロボックスのハイブリッドは10万円ほど割安だ。
そして実用燃費がWLTCモード、レギュラーガソリン価格が1L当たり145円で計算すると、27万5000円の差額を燃料代の節約で取り戻せるのは13万kmを走った頃になる。
商用バンでは、1年間に2万km以上を走るユーザーも多いから、6〜7年で取り戻せる。走行距離がさらに伸びれば、取り戻せる期間は一層短くなる。用途に応じたハイブリッドの選択でコストを抑えられることも、プロボックスの特徴だ。
荷室の広さはプロボックス、NV150ADともに同程度だが、後席の造りは異なる。プロボックスでは、Fを選ぶと後席の座り心地が向上して、畳む時も座面の引き起こし式に変わる。同様の仕様をGLやDXコンフォートでオプション装着することも可能だ。
NV150ADには、このような後席の選択肢はない。最上級のエキスパートGXに、後席のピロー(ヘッドレストではない)が装着される程度の違いだ。
インパネの周辺も、プロボックスでは、ノートパソコンなどを置ける引き出し式のテーブルなどを装着した。オフィスの作業を車内で行えるように配慮している。商用バンは乗車時間が長いため、仕事場の機能を充実させることも大切だ。
■トヨタの営業力も独走の大きな力
このほかプロボックスとNV150ADの売れ行きの違いには、販売店舗数や乗り替え需要も関係する。販売店舗数は、プロボックスを扱うトヨタの4系列が全国に約4600店舗、NV150ADを売る日産は約2100店舗だから、販売網には2倍の開きがある。
またトヨタでは、ハイエースの売れ行きも好調で、法人に向けた営業力が強い。プロボックスの前身となるカローラバン、かつて売られていたサクシードの前身になるカルディナバンも人気が高かったので、プロボックス&サクシードも堅調に売れた。この高人気が今も続いている。
以上のようにプロボックスは、価格の安い1.3Lエンジン搭載車や燃費の優れたハイブリッドの設定、仕事に使いやすいインパネ周辺の快適装備、座り心地の優れた後席のバリエーション、さらに法人営業の得意な販売店など、さまざまな相乗効果によって売れ行きを伸ばした。
この総合力こそ、トヨタの強みであり、プロボックスが好調に売れる理由だ。プロボックスには、トヨタ車の本質が息付いている。
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