■オンラインの導入は新車販売大変革へのスタートライン
コロナ禍で注目が集まるのが「オンライン」である。もちろん、新車販売現場にも、オンラインを使った営業活動は増えている。
特に、オンラインビデオ通話を使って、新車の商談を行う販売店が増えてきた。クルマの仕様や金額など、オンライン商談で全て決定してから、店舗へ来店してもらう。店舗では契約手続きだけをおこなうというものだ。自宅にいながらクルマの購入相談ができ、感染拡大防止にもつながる。
こういったオンラインを積極的に活用したクルマ購入のカタチを、さらに拡大すべきだと筆者は思う。もっとコンビニエンスにクルマを買うことができるほうが、販売促進にも繋がっていくはずだ。
クルマの購入手続きは、時間がかかる。販売店を訪れ、車種選定・試乗・見積り・契約を行う。その後、ローンの審査・契約書への署名押印となり、登録書類の作成などで、最低2時間はかかるだろう。
手続きにかかる時間の長さが手間であり、値引きや販売店ごとに違う工賃や諸費用などが、不平等感を高める。結果として、クルマ購入を敬遠する人も多い。
ワンプライスで値引きなし、作業工賃や登録諸費用は同一メーカーであれば、同じ金額を設定する。これで、オンライン見積りの正確性は高まり、手間も不平等感も払拭できる。
近年は、若者のクルマ離れが進んでいると言われるが、手続きの煩雑さも、若者をクルマから遠ざける要因の一つになっていると筆者は考える。
コロナ対策を機に、スマホひとつで、クルマの購入相談から、ローンの申し込み、そして契約までをおこなうことができるようになれば、新たな顧客層がクルマに目を向けるはずである。
■SNSで新たな営業活動の可能性も
実際に、販売現場でも、オンラインによる営業活動は、好意的に受け入れられていることが多い。販売店では、チラシ、DMなどをネットサービスへ切り替え、初売りや年末・期末のセール時に行われる限定・抽選販売なども、オンラインでの申し込みを積極的に活用した。
インターネットチラシの効果については、まだまだ検証が必要であるが、単純に宣伝ということであれば、SNSの活用で充分に効果は出る。集客面についての不安も払拭できるだろう。
InstagramやFacebookには、メーカーや販売会社単位ではなく、お店単位のアカウントが増え、趣向を凝らした情報発信を行っている姿をよく見るようになった。来店客に、お店のアカウントをフォローしてもらい、直接有益な情報を発信するほうが、闇雲にチラシを配るよりも、広告宣伝効果は高くなる。
現場で働く営業マンからも、多様なオンライン化を望む声は多い。社内では紙ベースの注文書から、電子注文書への切り替えが進み、車両説明の際には、カタログではなくタブレットを使って説明する営業マンがかなり増えた。新しい時代の営業スタイルが、コロナ対策によって、急速に確立しつつある。
コロナ禍において、多くの苦労を強いられているが、一方でこれまでの当たり前を見直すいい機会にもなっていると思う。1960年代の高度経済成長期から変わらない自動車販売のカタチは、60年以上経過した今、見直され、時代に合わせたものに変化するべきだ。
簡略化ではなく、効率化を図る。納車引取や、訪問商談などを行わなくても、効果的なSNSでの情報発信や、利用しやすいお店の形を考えることが、顧客のためになり、販売実績の増加にもつながっていくだろう。販売店は新しいビジネススタイルを考え、積極的にチャレンジしていってもらいたい。
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