日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表している2020年度(2020年4月~2021年3月)の通称名別新車販売台数で、トヨタ『ヤリス(ヤリス+ヤリスクロス)』がホンダ『N-BOX』をついに逆転した。
N-BOXは19万7900台、ヤリスは20万2652台でその差は4752台。ヤリスは単独ではなく、ヤリスファミリーである『ヤリスクロス』を含めての結果で、分割してみるとヤリスクロスの好調さが要因と考えられる。
ヤリス&ヤリスクロスは、N-BOXだけでなく、ほかのコンパクトカーに比べた際の強みとは何なのか? また販売台数ランキングで知っておきたいカラクリについて分析していきたい。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部、HONDA
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■「ヤリスの販売台数」はヤリスだけの数字ではない
2020年度(2020年4月から2021年3月)における軽自動車/小型車/普通車の新車販売台数ランキングを見ると、トヨタ『ヤリス』が20万2652台を登録して総合1位になった。2位は軽自動車のホンダ『N-BOX』で、19万7900台を届け出している。
過去を振り返ると、N-BOXは2017年度から2019年度まで、連続して軽自動車/小型車/普通車の総合1位であった。この実績を2020年度にはヤリスに譲った。
ただし20万台を超えたヤリスの登録台数には、SUVの『ヤリスクロス』と、スポーツモデルの『GRヤリス』も含まれる。「ヤリスシリーズ」の合計台数だ。
一般的な認識として、ヤリスとヤリスクロスは別の車種になる。購入時にライバル車と比べる場合も、ヤリスの相手はホンダ『フィット』や日産『ノート』だ。ヤリスクロスはコンパクトSUVだから、競争相手はホンダ『ヴェゼル』や日産『キックス』になる。
登録台数を毎月公表しているのは、日本自動車販売協会連合会で、ヤリスのような例はほかにも見られる。トヨタ『カローラ』の登録台数には、セダン/ツーリング/スポーツに加えて、継続生産車になる『カローラアクシオ/フィールダー』も含まれる。トヨタ『プリウス』には、『PHV』や生産を終えた先代型がベースの『α』も含まれた。スバル『インプレッサ』の登録台数には『XV』も入っている。
また軽自動車の届け出台数を集計するのは全国軽自動車協会連合会だが、ダイハツ『ムーヴ』には『ムーヴキャンバス』、スズキ『アルト』には『アルトラパン』が含まれる。ダイハツ『ミラ』は『ミライース』と『ミラトコット』の合計だ。
本来自動車業界では、車両の銘柄は型式で表記される。前述の登録台数や届け出台数は「通称名」に位置付けられ、型式と違って厳密な定義はない。
それでもクルマを買う時に、公表される販売実績を参考にするのだから、ユーザーの視線に沿った数値であるべきだ。そこでトヨタに2020年度のヤリスシリーズの登録台数を尋ねると、以下のとおりであった。
●2020年度:2020年4月から2021年3月/ヤリスシリーズ登録台数
・ヤリス(2020年2月発売):13万1110台
・ヤリスクロス(2020年8月発売):6万4550台
・GRヤリス(2020年9月発売):7000台
上記のように登録台数は、主にヤリスとヤリスクロスで分散された。N-BOXの届け出台数は19万7900台、スズキ『スペーシア』は14万5319台だから、正確にはヤリスは1位ではない。
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