■実際の航続距離はどのくらい?
カタログに記載されるWLTCモードによる航続距離は256.0km。さて実際のところ、1充電でどの程度の距離が走れるのか?
試乗開始時点でのバッテリー残量は75%で、航続可能距離は141kmと表示されていた。
試乗なのでちょっと多めにアクセルを踏み込んでみたり、通常の走行ではやらないような、“バタバタ”アクセルを動かしてトルクレスポンスを試すような乗り方もしたということは最初にお断りしておこう。
結果を言えば、約60分、30.2kmを走ってバッテリー消費は19%分。航続可能距離の表示は109kmとなっており、平均電費は4.9km/kWhであった。
35.5kWhバッテリーなので、この条件での航続距離は174kmということになる。
ワンデードライブであれば充分実用面での問題はないと感じた。
■乗り心地や操安性は?
乗り心地や操安性は、先に乗ったマイルドハイブリッドモデル(MHEV)とはまったくのベツモノ!
MHEVモデルで感じた乗り心地の粗さや、フロアから感じる共振するような低周波の音(ロードノイズ)はスッと抑えられていて心地いいのだ!
乗り心地はMHEVに対して190kg重くなった車重が大きく効いている印象。重量増の主要因が床下のバッテリーなので重心が低くなり、サスペンションの動きもスムーズになっている。
このバッテリーを搭載するフレームがフロアに結合されていることでフロア剛性が格段に強くなっている。これが乗り心地にも効いているし、音振のよさにも大きく寄与しているのだ。
また、走り出してフロントの軽さにビックリ! 操舵に対してシュッとフロントが反応する。
素早い切り返しでは相対的にリアが残ってしまう動きが少々気になったが、言い換えればリアがブレイクする不安感はない。このフロントの軽やかさは魅力的。これは前:920kg、後:730kgという重量配分ゆえ。
動力性能は「必要にして充分」。EVらしさを主張するようなドンと立ち上がるトルク感やアクセルオフでの回生減速感はなく、アクセル操作に忠実な穏やかな加減速感はむしろ好感である。
■お値段は? 買い方は?
ベースモデルの価格は451万円。ブレーキサポートをはじめとする運転支援システム、ACCなどは全モデル標準装備。
またオートエアコン、オーディオも標準装備なので、ベースモデルでも不満はない。
458万7000円の『EV Basic Set』では本革ステアリングなどの室内装備がグレードアップされる。
また、マツダでは3年プランなら残価率55%の残価設定クレジットプランを用意しているほか、初めてEVを買うユーザーのためのサポートデスクも用意する。
■下肢障碍者にも優しいMX-30EVモデル
現在開発中の下肢障碍者に向けたモデルに試乗した。特徴はアクセルをステアリングに沿って装着されたリングの押し込みで操作する点。
EVゆえにスムーズな加減速で、初めて操作したのにギクシャクすることなく走らせられた。
ブレーキは左手で押し込むバーで操作するのだが、こちらもすぐに慣れた。まだ試作段階ということだが、観音開きの乗降性と併わせて、大きな可能性を感じた。
●マツダ MX-30 EVモデル主要諸元 ※()内はガソリンモデル・FF
・全長:4395mm
・全幅:1795mm
・全高:1565mm(1550mm)
・ホイールベース:2655mm
・車両重量:1650kg(1460kg)
・最小回転半径:5.3m
・原動機:交流同期電動機(エンジン:直4DOHC、1997cc)
・最高出力:145ps/4500-11000rpm(156ps/6000rpm)
・最大トルク:27.5kgm/0-3243rpm(20.3kgm/4000rpm)
・駆動用バッテリー:リチウムイオン(─)
・総電圧:418V(─)
・総電力量:35.5kWh(─)
・一充電走行距離(WLTC):256km(15.6km/L・WLTCモード燃費)
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:215/55R18
・価格:451万円(242万円)
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