■荷室&シートアレンジ比較
タフトの後席は、前述の通り、足元空間がハスラーよりも狭く座り心地も硬い。その理由は、同乗者が座ることよりも、畳んで荷室として使う機能を重視したからだ。タフトのカタログやウェブサイトを見ても、後席に同乗者が座っている写真はなく、大半が背もたれを倒して荷物を積んでいる。
そこでタフトは、インパネや前席をブラック、後席はグレーに色分けした。車内のドアノブも、GやGターボの前席はメッキされるが、後席はブラックだ。開発者は「車内の前側は居住空間、後ろ側は後席を畳んで使う荷室と考えた。前後席の機能に明確な違いがあり、それを色彩でも表現している」という。
シートアレンジの機能はハスラーが豊富だ。特に後席にチャイルドシートを装着した時は、ハスラーの後席スライド機能が役に立つ。前側に寄せると運転席に座る親と子供の間隔が縮まり、停車時に世話をしやすい。この時には車内最後部の荷室が広がるから、ベビーカーや子供用の自転車も積みやすい。
このハスラーのシートアレンジや荷室の機能は、ワゴンRと同じだから実用性が高い。タフトはスライド機能も備わらず使い勝手が下がった。
ジムニーの荷室は、タフトやハスラーに比べると大幅に狭い。荷物を積む時には後席を畳む必要があり、居住性と同じく荷室もクーペに近い。
*評価:1位:ハスラー、2位:タフト、3位:ジムニー
■舗装路における走行性能&乗り心地比較
ジムニーのエンジンはターボのみだ。ラダーフレームを使った耐久性の高いボディ、駆動力を高める副変速機を併用した4WDなどにより、車両重量が1トンを超える。そこでエンジンはターボ専用とした。
2000回転以下では駆動力が低下するが、パワー不足を感じる機会はほとんどない。タフトとハスラーも、ターボであれば十分な性能が確保される。
タフトとハスラーは、ノーマルエンジンが売れ筋だ。実用回転域の駆動力はタフトが高くて運転しやすい。ただしCVT(無段変速AT)の発するノイズが耳障りだから注意する。ターボはCVTの構造が異なるので、ノーマルエンジンよりも静かだ。
走行安定性もタフトが優れている。操舵に対する反応は鈍いが、危険を避ける操作をした時でも挙動を乱しにくい。ハスラーはカーブを曲がる時にボディが大きめに傾く。ジムニーは悪路向けのSUVだから、操舵感や足まわりの考え方が根本的に異なり、舗装路では車両の動きが鈍めに感じる。
乗り心地はハスラーが快適だ。カーブでボディの傾き方が大きい半面、足まわりの動きが柔軟に感じる。タフトは硬めだ。ジムニーは先代型に比べると改善されたが、前後方向の揺れが少し目立つ。路面からの振動も伝わりやすい。
*評価:1位:タフト、2位:ハスラー、3位:ジムニー
●悪路の走破力比較
ジムニーの悪路走破力は、小型車版のジムニーシエラを含めて、日本で購入可能なSUVでは最も優れている。舗装路で感じた少し鈍い操舵感など、未舗装路や悪路に乗り入れると、すべてメリットに変わる。
ジムニーは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も205mmと高く、ボディの下側の形状も工夫したから、デコボコの激しい場所でも下まわりを擦りにくい。
2位はハスラー。4WDには滑りやすい急な斜面を安定して走破できるヒルディセントコントロールなどを採用した。
*評価:1位:ジムニー、2位:ハスラー、3位:タフト
●燃費性能比較
WLTCモード燃費をタフトの2WDで見ると、ノーマルエンジンは20.5km/L、ターボは20.2km/Lだ。ターボはエンジンの負荷が小さく、高効率なCVTも併用したから、燃費数値はノーマルエンジン並みだ。
ハスラーはマイルドハイブリッドシステムを搭載するから、ノーマルエンジンは25km/L、ターボでも22.6km/Lと優れている。
ジムニーはターボエンジン車のみで駆動方式も4WDに限られ、4速ATのWLTCモード燃費は13.2km/Lに留まった。燃費数値は2Lエンジンを搭載するSUVと同程度だ。
*評価:1位:ハスラー、2位:タフト、3位:ジムニー
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