「アルファードバブル」がまもなく崩壊か?? 月販1万台オーバーで売れすぎ!!

■トヨタ系ディーラーにおける全店併売化が影響

アルファードの2020年度月販台数の推移
アルファードの2020年度月販台数の推移

 2020年度はすべての時期にわたり、新型コロナウイルスの感染拡大により、世の中は混乱していた。そのなかで、支払い総額で500万円や600万円になるようなアルファードを、年間10万台以上販売したことは驚き以外の何者でもない。

 これについては、2020年5月からはじまった、トヨタ系ディーラーにおける“全車種(一部除く)全店併売化”が大きく影響している。

 2020年5月からは、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店と4つあるトヨタ系ディーラーの各販売チャンネルでの専売車がどこでも買えるようになったのだ。そのため、トヨペット店の専売であったアルファードも一気に販売窓口が増えたのである。

 しかし、カローラ店などでは「アルファードのように、販売台数の多い高額車を扱ったことがなかったので、どう売っていいのか最初はペースがつかめず、様子見しながら売っていました」とのこと。

 お盆休みがある8月は稼働日数が少ないこともあり、例年業界全体でも販売台数が落ち込むのだが、7月まではトヨペット店以外におけるアルファードの販売は、まだまだ“アイドリング中”といったところだったようだ。

 9月は年度締めでの上半期末決算セールが実施されるので、ここで納期が短めでしかも高収益車種ということで、アルファードを積極的に売るようになり、単月販売台数で1万台を越え、下半期は月販平均で1万台以上売ることとなった。

■「高級ミニバン」であるはずのアルファードが大衆化

売れまくった結果、街中で頻繁にアルファードを見かけるようになった
売れまくった結果、街中で頻繁にアルファードを見かけるようになった

 以上のように、アルファードが量販コンパクトカー並みに売れたことにより、街中にはアルファードが溢れるようになった。特に人気の高いパールホワイトのアルファードを見かけるようになった。

 そして“アルファードのカローラ化”や、“アルファードのプリウス化”などと表現されるようにもなってきた。つまり、それだけ“大衆化”が進んでいるのである。

 そんな状況を見て、あるセールスマンは「ここまでくると、アルファードのリセールバリューの暴落が心配になります」と語ってくれた。月販平均台数が1万台オーバーということは、デビュー時の目標販売台数の約3倍以上をコンスタントに販売していることになる。

 こうなると、“売れすぎて困る”ということが冗談ではなく、現実味を帯びてくるのである。

■値崩れしない中古価格が爆売れの原動力

海外へと流れる国内中古アルファードの人気が高く、高いリセールバリューを維持している
海外へと流れる国内中古アルファードの人気が高く、高いリセールバリューを維持している

 “アルファード爆売れ”ともいえる現状を支えているのは、絶対的なリセールバリューの高さがある。日本国内だけでなく、海外でも日本から輸出される中古車の人気が高く、それが高いリセールバリューを維持しているのである。

 新車販売事情通は、「ここのところ量販グレードとなっていた、特別仕様車のSタイプゴールドの価格は424万円ですが、このモデルをあるディーラーで残価設定ローンの試算をしてもらったところ、5年後の残価相当額が200万円になりました。

 5年後でも車両価格の50%弱が残価相当額として、支払い最終回に据え置かれるため、アルファードの月々の支払い額はノアやヴォクシーなどの月々の支払い額に“ちょい足し”する程度で済みます。それでアルファードに乗ることができるのです。

 そしてセールスマンがそのように案内すると、アルファードを選ぶお客さんがほとんどだということです」とのこと。

 これが、いまの“爆売れ”の原動力となっているのである。ちなみに、アルファードを購入する人は、そのほとんどがローンを利用し、しかもフルローンのケースも圧倒的に多いとのことである。

 現状の残価設定ローンでの残価率は、全体的に見ると控え目に設定するのが一般的。

 アルファードについても、5年払いで残価率が50%弱というのは控え目なものとみていい。支払い途中であっても、完済近くに頃合いを見て下取り査定に出したり、買い取り専業店人へ売却すると、最終回に据え置いた残価相当額よりも、はるかに好条件が出るケースも充分に期待できるという。

 支払い最終回を待って清算するよりも、アルファードは有利に次の新車へ乗り換えられるといったこともある、とは現場のセールスマンの話だ。

 また、気をつけなければならないのが、5年後の支払い最終回分となる200万円の精算方法が事実上絞りこまれてしまうこと。支払い最終回の精算方法は、現金以外には、当該車種の返却、トヨタの新車への乗り換え、そして再ローンを組んで乗り続ける、というものがある。

 しかし、再ローンは2年払いしか選べないので、月々の返済額は9万円近くになるともされており、現実的な選択肢とはいえない。そうなると、かなりの確率でトヨタの新車へ乗り換えるという選択肢に事実上絞り込まれてしまう人が多くなるというのである。

 「売る側としては、5年後の有力な新車販売先と見ることができます。今、アルファードを、ローンを使って購入していただくと、かなりの確率でトヨタの新車へ乗り換えていただけるものと考えております」(前出セールスマン)。

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