名門日産車の「散りぎわ」は必然だったのか 時期尚早だったか…?


デザイン以外はママの声を全部乗せした「ラフェスタ」

 そのプレーリー(リバティ含む)からバトンを受け継ぎ、2004年に登場したラフェスタ。初代モデル(B30型)は2004年に登場。

 全幅1695mmと、5ナンバーサイズの範囲に収められ、視界良好な大きなガラスエリア、そして乗り降りしやすい小振りなシート、子供が乗りやすい低めの2列目フロア、明るいパノラミックルーフなど、「ママの声を全部入れした、究極の便利クルマ」となって登場した。

デザインは野暮ったいが、四角くてクルマの四隅の見切りが良いので、運転はしやすかった

 2.0リッターのガソリンエンジンとCVTによって、必要十分な動力性能を持ち、ロードノイズも静か、実に運転がしやすいクルマだった。また、広大なパノラミックルーフから光がたくさん入り、車内は非常に明るい雰囲気があった。

 だが、当時の競合車だったストリームやウィッシュに比べて、地味なエクステリアがイマイチすぎて人気は振るわず。2012年にモデルチェンジとなった。

 2011年に登場した2代目ラフェスタは、まさかのマツダプレマシーのOEM。初代と違い、スタイリッシュなボディを得たが、2018年にモデル終了。ミニバンである「セレナ」に、バトンタッチとなった。

 ラフェスタの生産終了は、初代や2代目(マツダプレマシー)の出来がどうこうというよりも、ロールーフミニバン市場の衰退が、直接の原因だ。

 広い室内スペースと、いざとなれば多人数が乗れる、セレナのようなハイルーフミニバンが台頭してくると、ロールーフのMPVには、もはや行き場所はなかった。他社のライバル車も生き残っていないことでも明らかだ。プレーリー、リバティ、ラフェスタと続いた通算5代36年の歴史は、2018年をもって幕を下ろすこととなった。

2011年に登場した2代目ラフェスタは、まさかのマツダプレマシーのOEM。初代と違い、スタイリッシュなボディとなった

欧州日産の救世主「デュアリス」

 2007年に国内デビューしたJ10型デュアリスは、欧州市場向けの戦略車として開発された欧州CセグメントクラスのクロスオーバーSUVだ。

 ヨーロピアンテイストのある質実剛健としたエクステリアデザイン、比較的小柄なボディ、そして優れたNVH、ザックス製ダンパーを採用し、しっとりした走りが魅力のクルマだ。

軽快かつコンパクトな上半身と、SUVならではダイナミックさと安心感をもつ下半身を融合させた個性的なエクステリアが、デザインにおける最大の特徴だった

 欧州では「キャッシュカイ」という名でデビューしたJ10型は、狙い通り、発売直後から欧州で非常に高い評価を獲得した。販売も絶好調で、初代は24万台以上、2代目は37万台以上を販売し、日産の欧州でのプレゼンスを大きく上げることに貢献した。

 2014年に2代目J11型が登場するも、国内では販売されず、デュアリスは、国内ではたった一代で姿を消すこととなった。欧州キャシュカイ、そして北米のローグスポーツはその後も販売されており、2021年2月には、3代目となるJ12型が発表、2021年内にデビューとなる見込みなど、その活躍は続いている。

2021年2月に登場した3代目キャシュカイ

 デュアリスは、エクストレイルとプラットフォームを共有する兄弟車だ。エクストレイルとの顧客の食い合いになるよりも、国内は前型から評価の高かった「エクストレイル」一本に絞った方が、メーカー全体として販売台数増に貢献できる、と日産は考えたのであろう。

 その目論見通り、エクストレイルのその後の販売は好調で、2018年には「4WD SUVの国内販売台数NO.1」にもなった。

 しかし、ここ2~3年のSUVの隆盛を考えると、キックスとエクストレイルだけでは少々心細く、このデュアリスや、こちらも一代で姿を消したジュークに国内に残っていてほしかったな、と残念に思う。

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