名門日産車の「散りぎわ」は必然だったのか 時期尚早だったか…?

40年前にまさかの両側センターピラーレス「プレーリー」

 初代プレーリー(M10型)が登場したのは、1982年のこと。日産の3列シートMPVの流れを作った記念的なモデルだ。

 プレーリーは、全長4090mm、全幅1655mmと、とてもコンパクトだ。おおよそE13型ノートとほぼ同サイズのボディで、両側センターピラーレスかつ、3列8人乗りとしたMPVであり、超低床レイアウトによる広い室内空間を持っていた。

1982年に登場した初代日産プレーリー。「ファミリーカーとしての3列シート車」が少しずつ浸透していった時代だった
1982年に登場した初代日産プレーリー。「ファミリーカーとしての3列シート車」が少しずつ浸透していった時代だった

 シートバリエーションも豊富で、そのコンセプトは大いに評価され、プレーリーの低床レイアウトは、その後の「ミニバン」の先駆けにもなった。ただし、両側センターピラーレスにしたボディは剛性が低く、技術の面では理想に追い付いていない部分もあったようだ。

 1988年に登場したに登場した2代目プレーリー(M11型)では、1995年8月に行われたビッグマイナーチェンジで、エクステリアデザインを大幅改良したうえで、車名を「プレーリージョイ」へと変更。

 続く3代目(M12型)は、車名を「プレーリーリバティ」へと変更。更に、2001年にリバティを取り、「リバティ」へと改名した。リバティの3列目に乗ったことがあるが、体育座りをするようなスペースしかなく、なかなかハードだった。

リバティはファミリー向けMPVとして、人気があった
リバティはファミリー向けMPVとして、人気があった

 プレーリー(リバティまでの流れすべて含む)は、90年代後半に行われた、怒涛の日産車リストララッシュを、名前を変えながらも耐え抜いてきたが、2004年、3列シートMPVという座を、ラフェスタへと明け渡す。「古き良き時代」の縛りを解き放ち、新たな日産の流れを創り出すため、一新されたということだろう。

 プレーリーからの血筋は途絶えてしまったが、そのコンセプトは、しっかりとラフェスタに引き継がれた。

デザイン以外はママの声を全部乗せした「ラフェスタ」

 そのプレーリー(リバティ含む)からバトンを受け継ぎ、2004年に登場したラフェスタ。初代モデル(B30型)は2004年に登場。

 全幅1695mmと、5ナンバーサイズの範囲に収められ、視界良好な大きなガラスエリア、そして乗り降りしやすい小振りなシート、子供が乗りやすい低めの2列目フロア、明るいパノラミックルーフなど、「ママの声を全部入れした、究極の便利クルマ」となって登場した。

デザインは野暮ったいが、四角くてクルマの四隅の見切りが良いので、運転はしやすかった
デザインは野暮ったいが、四角くてクルマの四隅の見切りが良いので、運転はしやすかった

 2.0リッターのガソリンエンジンとCVTによって、必要十分な動力性能を持ち、ロードノイズも静か、実に運転がしやすいクルマだった。また、広大なパノラミックルーフから光がたくさん入り、車内は非常に明るい雰囲気があった。

 だが、当時の競合車だったストリームやウィッシュに比べて、地味なエクステリアがイマイチすぎて人気は振るわず。2012年にモデルチェンジとなった。

 2011年に登場した2代目ラフェスタは、まさかのマツダプレマシーのOEM。初代と違い、スタイリッシュなボディを得たが、2018年にモデル終了。ミニバンである「セレナ」に、バトンタッチとなった。

 ラフェスタの生産終了は、初代や2代目(マツダプレマシー)の出来がどうこうというよりも、ロールーフミニバン市場の衰退が、直接の原因だ。

 広い室内スペースと、いざとなれば多人数が乗れる、セレナのようなハイルーフミニバンが台頭してくると、ロールーフのMPVには、もはや行き場所はなかった。他社のライバル車も生き残っていないことでも明らかだ。プレーリー、リバティ、ラフェスタと続いた通算5代36年の歴史は、2018年をもって幕を下ろすこととなった。

2011年に登場した2代目ラフェスタは、まさかのマツダプレマシーのOEM。初代と違い、スタイリッシュなボディとなった
2011年に登場した2代目ラフェスタは、まさかのマツダプレマシーのOEM。初代と違い、スタイリッシュなボディとなった

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