■急を要する整備とは?
石井さん そうですよね。なので変にブーストを上げたりしなければ、いきなり200万円かけてエンジンオーバーホールをする必要はありません。まずは「急を要している箇所」の整備から始めてください。
――どういった箇所が「急を要している」場合が多いでしょうか?
石井さん ケース・バイ・ケースではありますが、多いのは「足回り」でしょうね。変なチューニングパーツを付ける前に、まずは足回りを元に戻してあげてください。
――その費用はいくらぐらいでしょうか?
石井さん 足回りのブッシュ交換がまずはおすすめですが、ガタがある部分だけを先に換えるとして15万円ぐらい、フルに交換すると30万円か40万円ぐらいでしょうか。これだけで乗り味はかなり良くなりますよ。タイヤの偏摩耗も解消されますし。あとは「ブレーキ」もリフレッシュさせたほうがいいでしょうね。
――その費用は?
石井さん そうですねぇ、ローターがまだ残ってると仮定して、ローター研磨とキャリパーのオーバーホール、パッドの交換で10万円ぐらいですね。4輪での価格です。
――ショックアブソーバーについてはどうでしょう?
石井さん セブンの純正ダンパーはけっこう長持ちするんですよね。弊社のお客様で「新車から35万km無交換」というFCの方もいらっしゃいます。もちろん少しは抜けてるんですが、決して「抜けまくってる」という感じではないですね。
――なるほど。ならば、もしもショックアブソーバーも交換するのであれば純正を選びたいところですね?
石井さん そうですね。社外品の車高調って、最初はいいんですが、割と早めにヘタりますからね。純正ダンパーに交換するとして、費用は全体で20万円かからないぐらいですね。
ただ、FCの純正ダンパーはもう出ないし、FDのも確かビルシュタインしか出なかったと思いますね。そのビルシュタインも、先日はフロントが出なかったし。
――なるほど。そうなると、遺憾ながら社外品を入れるしかないですね……。サスペンションのブッシュを替えて、ブレーキをリフレッシュさせて、そして必要であればダンパーも替えて……となった後は、何をすればいいでしょうか?
石井さん あとは……特にないんじゃないかな。自分の好きなタイヤやホイールに交換したり、まぁ内装のあちこちもたぶん劣化してるでしょうから、そこをキレイにしてやるといいんじゃないですかね? ステアリングのレザーとか、シフトのブーツとか、シフトレバー自体とかね。
――そのあたりの費用はどのぐらいですか?
石井さん うーん、ステアリングホイールのレザーをウチで新品に巻き替えるとしたら5万円ぐらいで、パンチングしたシフトブーツが2万5000円ぐらいですかね。
――安いとまでは言えないのかもしれませんけど、決して高くはないですね?
石井さん うん、そうだと思いますよ。で、そうやって基本的な部分をリフレッシュさせて、エンジンオイルもロータリーエンジンに適したもので早め早めに交換して……しばらく愉しめばいいんですよ。FCだろうがFDだろうが「RX-7」という素晴らしいクルマを。
――はい。
石井さん そうしていると数年後、やっぱりエンジンオーバーホールをしなければならなくなることが多いはずです。そのとき初めて、もしもやるのであれば、約200万円をかけてエンジンオーバーホール一式をやられればいいのではないでしょうか。
――RX-7は、200万円かけてエンジンオーバーホールをしてでも維持する価値があるクルマですかね?
石井さん そこはユーザーさんそれぞれの考え方次第ですから、私からは何とも言えません。
しかし私どもがオーバーホールを行えば、エンジンに関してはその後10万km以上は普通にお使いいただけるはずです。そのため、もしも一生乗るおつもりなら――必要なタイミングでのエンジンオーバーホールをおすすめはしますね。
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