■ボロくて安いFCやFDのフルレストアは?
――Oh! 私がネットで聞きかじった額の4倍ですね。そうですか……。では、ボロくて安いFCやFDの中古車を買ってきて、フルレストアするとなると?
石井さん そうですねぇ、仮に弊社がフルレストアを行ったうえで販売すると仮定しますと、売価は……1000万円では完全に赤字ですね。もっと高額に設定せざるを得ないでしょう。
――ううむ。「古くてお安い中古車をとりあえず買って、あとはコツコツ直していけばいいだろう」ぐらいに思ってましたが、実際は茨の道なんですね。
石井さん メンテナンスやオーバーホールに使用する純正部品の料金も、このところどんどん上がってしまってますしね。
――そ、そうなんですか?
石井さん そうなんですよ。マツダさんも頑張って純正部品の一部を今も供給してくれてますが、例えば以前は4万円だったハウジングも、今や8万円ですからね。そのため、先ほど「ちゃんとしたエンジンオーバーホールの代金目安は200万円」と申し上げましたが、それはあくまで「2021年4月現在の話」です。
――もしも部品代がさらに上がっていくと、200万円ではできなくなってしまう――ということですか?
石井さん おっしゃるとおりです。もちろん部品代が今後下がる可能性もゼロではないですが、上がる可能性のほうが高いでしょう。
……弊社でもね、昔は120万円ぐらいでキチッとしたエンジンオーバーホールができたんですよ。それが今や、利益率を上げたわけでもなんでもなく、使用する部品代が上がってしまったがために「200万円」ですからねぇ。
――ううむ……。
石井さん 弊社のお客様でも多いですよ。「あのとき、ローンを組んででもエンジンオーバーホールをしておくべきだった……」的に嘆かれているお客様が。
――ううむ。では結局、これからRX-7を、つまりFC3SまたはFD3Sを買いたい場合は、どうするのが一番だとお考えですか?
石井さん まずはフルノーマル車か、フルノーマルに近い中古車を買う。そしてそれを、差し迫った問題がある箇所から順番に直していく――というのが、もっとも現実的でしょうね。
――フルノーマルか、ノーマルに近い中古車以外はダメですか?
石井さん カスタムされたセブンが一概にダメとは申しませんが、まぁダメなものが多いのは確かですね。「よくわからないチューニングパーツを付ける前に、まずは基本的なメンテナンスをやればよかったのに……」と思わざるを得ない、私のような整備士から見るとハチャメチャな状態のセブンが多いんです。
――しかしフルノーマルかノーマルに近い中古車なら、そうではない場合も多いと?
石井さん これまた一概には言えないんですけどね。ガンガンにカスタムされまくった個体が、いわゆる「ノーマル戻し」でノーマル風に戻されて売られていることもありますし。だから中古車の購入時は、フェンダーの裏とかもよく見たほうがいいと思いますよ。
――ふむう。
石井さん で、とにかくまずは「なるべくコンディションが良いと思われるノーマル車」を買ってください。そういった個体のエンジンやクラッチは、決して100%完璧ではないとは思いますが、「今すぐオーバーホールをしないと!」というわけではない場合が多いはずですから。
――経験上、確かにそうかもしれません。
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