名門フーガよどこへゆく 現行型の軌跡と今後の見通し


日産は「苦い思い出」に縛られている

 同じFRプラットフォームを使い、7~8年スパンでモデルチェンジをしていたスカイラインに続いて、フーガも2017年ごろには新型がデビューしていてもおかしくはなかった。なぜ日産は次期型フーガを出さないのか。

今見ても、マッシブでスタイリッシュなセダンではあるが、すでに見飽きられてしまっている

 その一番の理由はやはり、「新車開発の投資に見合う利益が見込めない」と日産が判断していることにあろう。日産には「倒産すれすれ」となった苦い思い出がある(いまもピンチだが)。そのため、「絶対に損をしないビジネスをする」という思いが強い。

 しかも、「売れていない」過去から「売れ高」を予測するので、ポジティブなビジネスモデルなど出てくるはずもなく、細々とでも売れ続けるのならば、そのまま放置しておこう、となるのだ。フーガやエルグランド、マーチなど、主力でないクルマのモデルライフが異様に長いのは、そういうことである。

現行のK13型マーチは2010年の登場と、マーチもフーガと同じく放置されているモデルだ

 日産で開発担当の一人だった筆者は、こうした実情をまさに身をもって経験してきた。「次期型を作りたい」という志を持ったエンジニアは社内に沢山いるし、開発する能力もある。でも、「リスクを背負ってでもチャレンジする勇気」が、日産社内には湧き起らない。それこそが課題だった。

 しかし日産は、昨年5月に「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を発表以降、新型車やその情報を続々と発表している。再び崖っぷちに立たされ、いまは社内の雰囲気も変わっているのであろう。しかし、フーガにとっては「時すでに遅し」という状況だ。

次期型フーガが今のまま「大排気量のマルチシリンダーエンジンの後輪駆動セダン」で登場する可能性はないに等しい

ラグジュアリーEVセダンを目指してはどうか

 セド・グロの系譜を継いだフーガは、「大排気量のマルチシリンダーエンジンを積んで、なおかつ、後輪駆動セダンでないとダメ」、と考える方もいるだろう。

 しかし、どんな素晴らしいクルマをつくったとしても、そもそも「セダン」というボディ様式が世間受けしなくなっている。次期型フーガが今のまま「大排気量のマルチシリンダーエンジンの後輪駆動セダン」で登場する可能性はないに等しい。

 ここはひとつ、フーガには日産が大事に磨いているEV「アリア」をベースにした「ラグジュアリーEVセダン」を目指してほしい。電動技術を駆使して、古典的な後輪駆動のフィーリングのEVを生み出すのだ。

アリアのプラットフォームを使ったラグジュアリーモデルこそが、「フーガ」の後継車こと、フラッグシップカーとしてふさわしいようにも思う

 これとて大ヒットは見込めないが、日産の名門「フーガ」の最後の花道を飾ることくらいは、できるかもしれない。

編集部註/フーガを全グレードEVにするなら、ぜひとも大容量バッテリーを搭載したグレードを設定し、「グランツーリスモアルティマ」と名付けてテスラよりも速くて長距離走行可能なバリバリのスポーツサルーンを作ってほしい。

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