なぜノートオーラのライバルがプリウスに?
そこでノートオーラのライバル車を考えたい。コンパクトカーのハイブリッド車には、ヤリスハイブリッドやフィットe:HEVが挙げられるが、これはノートのライバル車だ。ノートオーラとなれば、ライバル車は上級のプリウスになる。
ノートオーラの月の販売目標は前述の4250台で、2020年度(2020年4月から2021年3月)におけるプリウスの登録台数も、月平均で4930台であった。ノートオーラがプリウスと同程度に売れると、その使命も達成される。
ノートオーラ「G」の価格は261万300円だから、これに吊り合うプリウスは「S」になり、価格は273万1000円だ。
プリウスは全長が4575mmのミドルサイズカーだから、4045mmのノートオーラに比べて車内は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、ノートオーラの後席は膝先空間が握りコブシ2つ分、プリウスは2つ半になる。視覚的にもプリウスが広々としている。
ただし、後席の頭上空間は、ノートオーラが握りコブシ1つ分、プリウスはそれよりも少ない。プリウスは天井を後ろに向けて下降させたから、頭上も狭まった。
インパネなど内装の造りはノートオーラが上質だ。ツイード調織物などを巧みに使って質を高めた。荷室はボディの長いプリウスが広い。リヤゲートが大きく開き、荷物の出し入れもしやすい。
動力性能は同程度だ。ノートオーラはノートに比べて加速力を高めたが、プリウスもエンジンとモーター駆動の併用で余裕がある。アクセルペダルを踏み込んだ時のノイズは、ノートオーラが少し小さい。
走行安定性は、プリウスは現行型の発売当初の段階では、後輪の接地性が少し緩かった。そこをマイナーチェンジで改善している。いっぽうノートオーラは、カーブを曲がる時に旋回軌跡を拡大させにくく、峠道などを走りやすい。車両重量も2WD同士で比べると、ノートオーラが90kg軽く、安定性では有利になった。
それでも高速道路を直進する時などは、全幅が少しワイドで、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も120mm長いプリウスに安心感がある。ノートオーラはコンパクトカーだが、プリウスはミドルサイズという違いを感じる。
乗り心地は両車ともに改善の余地を残す。ノートオーラは大きめのデコボコを通過した時の突き上げ感は抑えたが、40km/h以下で路面の荒れたところを走ると、上下に揺すられる細かな振動が気になる。
プリウスも「S」は細かな硬さが伝わる。「Aプレミアム」は少し快適だが、乗り心地を高める余地がある。
狭い裏道や駐車場での取りまわし性は、ボディのコンパクトなノートオーラが勝る。後方視界もノートオーラが優れ、ボディの四隅もわかりやすい。最小回転半径は、ノートオーラは5.2mだが、プリウスの15インチタイヤ装着車は5.1mで17インチは5.4mだ。装着するタイヤによって小回り性能が異なる。
衝突被害軽減ブレーキは、両車ともに昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知できる。ノートオーラは、2台先を走る車両も検知するなど機能を少し充実させた。
このほかノートオーラ「G」では、LEDヘッドライトにハイビーム時の眩惑を抑えるアダプティブ機能が備わり、車両の周囲を上空から見たような映像で表示するアラウンドビューモニター、液晶タイプのインテリジェントルームミラーなどを標準装着する。
その一方でプリウス「S」は、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、操舵支援機能、8インチディスプレイオーディオなどを標準装着した。ノートオーラの運転支援機能となるプロパイロットは、カーナビなどを含んだ40万1500円のセットオプションに含まれる。
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